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日本小児歯科学会 第36回北日本地方会・第33回関東地方会合同大会 開催される
 10月6(土),7(日),宇都宮文化会館(栃木県宇都宮市)において標記の大会が開催された(大会長・福本敏氏/東北大).
 大会は6日(土)のプレセミナーおよび歯科衛生士交流企画ラウンドテーブルディスカッションからはじまった.プレセミナーでは「小児期における II 級咬合の治療について」(福永智広氏/東北大),「小児歯科医が発見できる小児の全身疾患」(山田 亜矢/東北大)といった小児歯科の臨床に関する演題から,成田奈緒子氏(文教大)による「脳の発達から考える子どもの睡眠と生活習慣の重要性」と題する,子どもの発達全体を概観した講演まで,幅広いテーマが取り上げられた.
 ラウンドテーブルディスカッションでは「歯科衛生士からの食育支援・ おやつの捉え方を再考する」のテーマで,参加した歯科衛生士が対象となる小児の年齢ごと(1~2歳,3~5歳,小学校低学年,小学校高学年以後)に分かれ,おやつや食育について,自身の体験や取り組みを示したり問題点や悩み事を話合ったりするなどして,お互いの知見を深め,今後につながる情報や解決策を示し合っていた.
プレセミナーの様子
活発な議論が交わされたラウンドテーブルディスカッション
 7日(日)は福本敏氏および準備委員長の田中英一氏による基調講演に続き,小坂 仁氏(自治医大小児科学講座)による特別講演「小児の神経疾患について」が行われた.小坂氏は小児の神経疾患として「てんかん」「脳性麻痺」「発達障害」を取り上げ,それぞれの疾患の脳神経的な発生機序や症状の分類,さらには臨床現場における対応法や歯科臨床への応用のヒントなどを示した.
大会長の福本氏
 特別講演に続いて,4つのテーマの臨床講演が行われた.まず,清水邦彦氏(日大松戸)は「小児の外傷に対する処置について」として,小児における外傷の典型的な分類や対応法,乳歯の場合においては後続の永久歯に対する影響を考慮した処置の考え方などを示した.
 続いて櫻井敦朗氏(東歯大)は「小児の歯の形成異常について」の演題で,小児において歯の形成異常が起こる原因などを紹介した後,MIH(Molar Incisor Hypomineralization: 第一大臼歯・切歯に限局して発生するエナメル質形成不全)について紹介.原因が特定されていない本疾患について,演者らの研究のほか,考えられる原因などを示した.
 臨床講演「小児の歯髄処置について」では,倉重圭史氏(北医大)が登壇.近年報告が増えているMTAセメントを用いたパルプ・リバスキュラリゼーション(再生歯内療法)の手法・メカニズムを解説した.幼若永久歯の歯内治療にあたっては,可能なかぎり歯髄処置を避けること,不可逆性歯髄炎の場合は,根管壁の増加と根の伸張を期待できる再生歯内療法にて対応することが勧められるとした.
 続いて,「小児の口腔細菌叢について」と題し齋藤 幹氏(東北大)が登壇.小窩裂溝齲蝕,平滑面齲蝕,根面齲蝕など,部位による細菌叢の違いや,近年の16SリボソームRNA解析による口腔内細菌叢と齲蝕との関係が解説された.小児の口腔内細菌叢は母親(母乳,乳首,母の口腔内等)と類似性が高く,乳歯萌出後に確立することから,同時期(2歳頃)の口腔衛生,ブラッシングが特に重要であることが示された.
 大会の最後には歯科衛生士セミナーとして漫画家の魚戸おさむ氏が舞台に立ち,「こころに届く食育支援 ~本当の『いただきます』を伝えられる歯科衛生士を目指して~」をテーマに講演をした.近年食育を取り上げることの多い魚戸氏の作品の紹介に始まり,取材時のエピソード,一冊の本に込められた想いなどを語り,歯科衛生士をはじめとした聴衆の心に強く印象に残る内容となった.
登壇した漫画家の魚戸おさむ氏
 次回の合同大会は2019年9月に文京シビックホール(東京都文京区)にて開催予定.

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