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関東甲信越歯科医療管理学会平成30年度総会・第24回学術大会開催される
 9月2日(日),一般財団法人主婦会館・プラザエフ(東京都千代田区)にて,標記総会・学術大会(大会長:大金 誠氏/大金歯科医院,大会実行委員長:飯髙 道氏/飯髙歯科医院)が,「明日を拓く 再び~健康長寿へのお手伝い・歯科医療にできること~」をテーマに開催された.
会場の様子
 基調講演では,「新しい要介護原因疾患の概念と相互関連:ロコモとフレイルとサルコペニア」をテーマに吉村典子氏(東京大学医学部附属病院22世紀医療センターロコモ予防学講座)が登壇.超高齢者社会の到来により介護予防がますます重視されるなか,フレイルのような新しい概念が定義されるようになってきているが,まだそれぞれの疫学指標などのエビデンスは少ない.介護予防と高齢者のQOLの維持増進を目的として,2005年より開始した大規模住民コホートResearch on Osteoarthritis/osteoporosis Against Disability(ROAD)スタディの調査結果から,ロコモティブシンドローム,フレイル,サルコペニアの定義と概念について,また,疫学指標とそれらの相互関連について報告した.調査結果からはすべて相関関係が示されることが判明し,なかでも40~50歳代でみられるロコモを早期に発見し介入することで,その後のフレイル,サルコペニアを予防,あるいは遅らせる可能性が十分にあることを示唆した.また,残存歯との関係性についても解析中とのことで,調査報告が待たれる.
 歯科衛生士セクションでは,「厚生労働省から東京医科歯科大学歯学部附属病院への受託事業<歯科衛生士の復職支援・離職防止等推進事業について>」をテーマに4名の講師が登壇.和田康志氏(前厚生労働省医政局歯科保健課)は,わが国の歯科保健医療の需要の変化によって歯科衛生士に求められる役割や働く場所が多様化していることを報告.歯科衛生士の復職支援等については,これまで各都道府県の実情にあわせて「地域医療介護総合確保基金」の事業で取り組まれていたが,今後はブロック単位で広域的に事業を展開していくことが求められており,東京医科歯科大学で行っている「歯科衛生士技術訓練部門の運営事業」及び歯科衛生士養成における教育と課題について,渡邊洋子氏(東京医科歯科大学歯学部附属病院歯科衛生士総合研修センター)と近藤圭子氏(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科生涯口腔保健衛生学分野)が報告した.また,復職歯科衛生士を採用した歯科医院からの報告として久保田順子氏(くぼた歯科・矯正歯科)が登壇した.
 教育講演では,「全身疾患と歯科医療」をテーマに2名の講師が登壇.本田謙次郎氏(東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科)は,成人の8人に1人が罹患する慢性腎臓病(CKD)の病態と透析患者における歯科治療の際の薬剤の投与の留意点について解説.また,透析治療を受けながら歯科診療にあたっている岡本英彦氏(オカモト歯科医院)からは,腎臓病患者の食生活上の注意,歯科治療における透析患者に対する注意点を自身の体験から提言し,病気を抱えた患者さんの気持ちを理解できた貴重な体験であると締めくくった.
 特別講演では,佐藤裕二氏(昭和大学歯学部高齢者歯科学講座/日本老年歯科医学会)が,今年度新たに健康保険に導入された「口腔機能低下症」の概要と歯科医院における7つの検査(プレスケール,グルコセンサー,舌圧測定など)について,通常検査法及び代替検査法もふまえて具体的に解説.カルテの記載方法については,今後,日本老年歯科医学会を中心にまとめられるとのことである.
 本学術大会のテーマである,ヒトが誕生し生涯を終えるまでの期間,いかにQOLを維持し,自立した生活を送るために歯科医療人としてできることを,さまざまな角度から吸収できる一日であった.

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