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日本歯科医学会主催研修会 「歯科診療に関する基本的な考え方」に基づくライフステージに応じた口腔機能管理の推進 開催される
 2018年8月19日(日),歯科医師会館(東京都千代田区)にて標記会が開催された.本会は,4月に保険収載された小児口腔機能管理加算および口腔機能管理加算の考え方と実際の算定方法等について,日本小児歯科学会と日本老年歯科医学会の協力を得て開催されることとなり,約300名が参加した.(主催:日本歯科医学会).
 小児領域においては,日本小児歯科学会から2名の演者が講演した.
 「口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方」では,木本茂成氏(日本小児歯科学会 理事長,神歯大)が登壇.小児の摂食嚥下障害については,小児歯科の現場で歯科医師の80%超が対応をとるべきと感じつつも,実際に対応できているのが44%程度である調査報告を示し,明らかな摂食機能障害の原因疾患のない,これまで現場で対応できずに埋もれてしまっていたボーダーラインの子どもへの支援が広がるよう,本算定を活用していくべきとした.
 「「口腔機能発達不全症」指導・管理記録簿,管理計画書の作成」では,鈴木広幸氏(日本小児歯科学会社会保険委員会 委員長,鈴木歯科小児歯科医院)が登壇.本請求に関する院内資料の作成例を詳説した.口腔機能発達不全症については,診断における検査機器・検査数値がないため,資料記録が臨床上の要となるとした.また不全症について,問診時にすべてを把握するのは難しいため,事前スクリーニングとして,問診票項目の工夫が有効であるとした.
 高齢者領域においては,日本老年歯科医学会から2名の演者が講演した.
 「口腔機能低下症に関する基本的な考え方」では櫻井 薫氏(日本老年歯科医学会・前理事長,東歯大)が登壇.日本老年歯科医学会において,口腔機能低下症という疾患名を提案するまでの検討過程や,7つの検査項目の概要等を解説した.口腔機能精密検査については,7つすべてを必ず実施する必要があり,10~15分程ですべて行えること等を紹介した.
 「「口腔機能低下症」口腔機能精密検査記録用紙,管理計画書,管理指導記録簿の作成」では,上田貴之氏(日本老年歯科医学会,東歯大)が登壇.櫻井氏の解説を受け,口腔機能低下症の診断に用いる7つの検査項目について,実際的な考え方を呈示した.口腔機能低下症へのアプローチにおいては,機能を改善・回復させるというものではなく,現状維持(現状より,機能を低下させない)という視点であること等を解説した.
 小児,高齢者,各セッション後には質疑応答の時間が設けられ,それぞれに多くの現場からの解釈および算定上の疑問・意見が呈され,演者や座長の解説が加えられた.「小児口腔機能管理加算(口腔機能発達不全症)」,「口腔機能管理加算(口腔機能低下症)」ともに,新しい医療技術として,これから歯科界で“育てていくもの”であることが,会を通して繰り返し強調された.本算定については,今後通知文をはじめ,修正の可能性があること等も示された.

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