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第59回日本歯科医療管理学会総会・学術大会開催される
 7月20日(金)~7月22日(日),日本歯科大学新潟生命歯学部(新潟市)にて,標記学会総会・学術大会(大会長:藤井一維氏/日本歯科大学新潟生命歯学部)が,「既成との対峙,そして創造へ~Dental Singularityを目指して~」をテーマに開催された.
藤井一維大会長
 基調講演では,「歯科医師需給問題 既知と未知」をテーマに安藤雄一氏(国立保健医療科学院)が登壇.演者が2016年に厚生労働省の「歯科医師の資質向上に関する検討会」における需給ワーキンググループで行った将来予測は,歯科医師国家試験の合格率の低下による供給量予測値の下方修正と高齢者の歯数増加に伴う受診率の向上による需要予測値の上方修正により,これまでの「供給過多」とは異なり,需給と供給が接近するという結果が出たことを報告した.しかし,現在の歯科医師の最多数を占める年齢層が引退される時期,いわゆる「2025年問題」,そしてコデンタルスタッフ(歯科衛生士・歯科技工士)の不足が懸念されることを考えると,今後具体的に方策を講じる必要があることを提言した.
安藤雄一氏
 シンポジウムでは,「20年後の歯科界を考える」をテーマに歯科界のツートップである堀 憲郎氏(公益社団法人日本歯科医師会会長)と住友雅人氏(日本歯科医学会会長)が登壇.
 堀氏は口腔機能管理の徹底により,誤嚥性肺炎の発症の減少,生存期間の延伸,入院日数の減少,医科医療費が減少するというエビデンスが,ここ数年でようやく国民的な理解を得たことを報告.そして今年度,診療報酬改定において新病名「口腔機能発達不全症」「口腔機能低下症」が収載されたことは,健康寿命の延伸に向けた歯科医療の充実に期待が寄せられており,歯科界のさらなる結束に向けて日本歯科医師会がリーダーシップを発揮していくと宣言.住友氏は2019年に70周年を迎える日本歯科医学会を記念して進めている「2040年までの歯科のイノベーションロードマップ」(43分科会から専門領域のイノベーション)を進行していることを報告.両氏ともに20年後の歯科界は突然に現れるものではなく,現在からの積み重ねが重要であることを強く発信した.
(左から)住友雅人氏,堀 憲郎氏,白土清司氏
 教育講演では,「あたりまえですが,全て自費診療です」をテーマに,浅井 厚氏(アニマルメディカルプラザ関屋・あさい動物病院院長/獣医師)が登壇.自費診療であるがゆえに,患者(飼い主)とのコミュニケーションがきわめて重要で,信頼関係の構築が鍵となり,常にリスクや費用に関する詳細な説明と同意が欠かせないことを具体的に解説.料金に見合う価値あるいは料金以上の価値をいかに提供できるか,歯科医療従事者に投げかけた.
浅井 厚氏
 特別講演では,「JALの品質を生み出す整備現場の取り組み~ヒューマンエラーを防ぎ,品質を作り込む~」をテーマに,北田裕一氏(日本航空株式会社執行役員整備本部長/株式会社JALエンジニアリング代表取締役社長)が登壇.安全を管理するための組織体制,責務,方針,手順など再発防止にとどまらず,未然防止に重点をおき,ヒューマンエラーに対する取り組みについて解説.「整備士の仕事は整備ではなく,大切な命をお預かりしてお運びすること」という新入社員の言葉が感慨深かった.
北田裕一氏
ポスター会場の様子
 創造のないところに変革なしという今回のテーマに沿った,他業種からの演題を含め,地元の企業とタイアップしたランチョンセミナー等,歯科にとらわれないプログラムづくりは,本年5月に一般社団法人となった本学会の方向性・可能性を感じられた.また,本大会にあわせて本学会が編集した『新版 歯科医療管理』(医歯薬出版/2018年7月25日発行)も参照されたい.次回,第60回総会・学術大会は,2019年7月12日(金)~14日(日),東京にて開催予定(大会長:尾﨑哲則氏).
『新版 歯科医療管理』(2018年7月25日発行)

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