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2018年臨床歯科を語る会 開催される
 7月6日(金)~8日(日),クロス・ウェーブ府中(東京都府中市)にて,2018年臨床歯科を語る会が180名の参加者のもと開催された.
 7日(土)は,まず稲垣伸彦氏(東京都)片山健一氏(熊本県),関口寛之氏(埼玉県)の3名による新人発表が行われ,いずれも丁寧な治療と経過に対する真摯な考察を展開した.
続いて行われた全体会では,「補綴臨床の60年」と題し,金子一芳氏(東京都)が登壇.「間接法・理想咬合とすれ違い」「Ceramics・咬耗・顎位低下・左右偏在」「ペリオとテレスコープ」「ヨーロッパ交流録」の4部構成の講演は3時間を越え,間接法の精度追求と下顎運動の再現・理想咬合への挑戦の歴史と,プラークコントロールがすべての根本であるとの結論.顎位の低下に対し,咬合挙上はどのようにあるべきか.新しい機器に翻弄されたセラミックの臨床についての一定の手応えと,近年の動向への懸念.高齢社会を見据えた際のテレスコープ義歯の圧倒的な優位性などを強調された.繊細な治療介入と,経過観察における徹底的な考察とフィードバックが,氏の半世紀以上にわたる臨床の姿そのものであることを実感する講演であった.
 午後は,4題のポスター発表に続き,3つの分科会が開催された.「CADCAMと接着」「欠損歯列難症例の処置方針」「歯周組織再生療法の出番を考える」はいずれも盛況で,発表者・参加者を交えた活発なディスカッションが展開された.「歯周組織再生~」では,多くの場面では再生療法を用いずとも従来法で歯周組織の回復は可能であることが示される一方,重度の根分岐部病変や欠損歯列におけるkeytoothへの処置などにおいて,再生療法に期待がもたれることなどが整理された.
 8日(日)には,全体会「力をどう読み,どう対応するのか」が開催.熊谷真一氏(静岡県)は,口腔内に現れる力に対する,臨床医としてもつべきスタンスについて解説.川上清志氏(富山県)・折笠紀晶氏(新潟県)は,インプラント埋入症例,RPD装着症例における主機能部位の診査から,補綴治療における配慮事項を考察.壬生秀明氏(東京都)は,歯根破折が多発する経過を辿った長期症例を徹底的に分析.永田省蔵氏(熊本県)・須貝昭弘氏(神奈川県)は,インプラントの応用を伴う症例の長期経過を紹介.噛めるようにする補綴介入が生み出す代償というジレンマについても詳細に解説.最後に押見一氏(東京都)は,力に対しての医療者側のアプローチには限りがあること,モチベーションに基づくセルフコントロールこそが力に関する治療であると自覚すべきとまとめた.

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