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藤本研修会40周年記念講演会 開催される
 2月25日(日),銀座フェニックスプラザ(東京都中央区)にて標記会が開催された.
 藤本研修会は,藤本順平氏が米国での留学・教職を経て1979年に帰国後,立ち上げたもの.わが国の臨床家を対象に,世界レベルの歯科医療を提供する場となり,現在まで2,500名超が受講している.
 会冒頭では,現在本会を主宰する藤本浩平氏(東京都・藤本歯科医院)が登壇,会発足からの歩みを紹介し,挨拶とした.
 最初の演者,錦織 淳氏(東京都・錦織歯科医院)は「Occlusion」と題し登壇.EBM的裏付けが弱いとされる咬合学であるが,補綴医療を成功に導くためには学問的に不可欠だとし,咬合の安定のための条件について詳説した.また,咬合の安定に加え,補綴精度の維持,患者との信頼関係の構築が重要であるとまとめた.
 藤本浩平氏(前記)は「上顎洞における腸骨移植~インプラント治療の長期経過」と題し登壇.サイナスリフト適用者では自家骨のなかでも腸骨移植が骨伝導性,骨形成能,骨誘導から有効であること,また,骨質・骨量等に応じて戦略的に抜歯を行ったり,インプラントの埋入本数を検討すること等を,症例を元に解説した.
 加治初彦氏(東京都・加治矯正歯科)は「アンカースクリューが変えるGPの矯正臨床」と題し,LOT(部分矯正)の臨床応用(歯の整直,前歯・臼歯圧下,臼歯部交叉咬合の改善等)を詳説した.高齢の歯周病患者への部分矯正のニーズも高まっている超高齢社会の現在,LOTの導入により,一般歯科においても臨床視野が広がる可能性があると強調した.
 宮下裕志氏(東京都・宮下歯科)は,「スカンジナビアンエンドを日常臨床に生かす」と題し登壇.イエテボリ大にて学んだエンド治療においては治療テクニックのみならず,診断学が重要であるとし,数々のシステマティックレビューを紹介した.根管治療の15要素については,患者個々の状態により各要素の重要度が異なってくるとした.
 岡村光信氏(福岡県・岡村歯科医院)は「補綴修復法の大変革」をテーマに登壇.オールセラミックス修復について,製作方法,修復材料,修復物固定材料,印象法について解説した.口腔内光学印象法については,大きな進化を遂げているものの,精度・再現性について現在も発展中であるとした.
 最終演者・二階堂雅彦氏(東京都・二階堂歯科医院)は「変わることと変わらないこと ―藤本研修会と私」と題し登壇.国内のメンターとする藤本順平氏との出会い,また臨床における重度歯周病患者との出会いにより,留学を決意するに至ったことなどを紹介したうえで,歯周治療への思い,基本概念は変わらないものの,Less Invasiveな治療,インプラント周囲炎の問題,再生治療における臨床実感など,現在直面している課題も含めて解説した.
 会の途中には藤本順平氏が挨拶に登壇する場面もあるなど,40周年記念講演会は盛況のなか幕を下ろした.

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