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第17回日本訪問歯科医学会開催される
 11月12日(日),御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンター(東京都千代田区)にて,「やさしさとやりがい 訪問歯科診療―オーラルフレイルの対応―」をテーマに標記大会が開催された.
 シンポジウム「訪問歯科診療におけるオーラルフレイルの対応」では,はじめに座長の柿木保明氏(九州歯科大学歯学科 老年障害者歯科学分野 教授)がオーラルフレイルの概念について解説し,訪問診療をはじめとするさまざまな歯科の専門分野でオーラルフレイルへのさらなる理解と取り組みが必要とされている現状を訴えた.
 その後,シンポジストとして遠藤英俊氏(国立長寿医療研究センター 長寿医療研修センター長),迫田綾子氏(日本赤十字広島看護大学 特任教授),中村真理氏(北九州市立医療センター 歯科口腔ケア外来 歯科衛生士長)が登壇.遠藤氏は「訪問歯科と認知症」と題し,認知症が疑われる患者への歯科的対応を概説.歯科医療者が認知症に関する基礎知識をもったうえで,現場での対応力を高めることが重要であると述べた.
 続いて迫田氏が「適切なポジショニングは,フレイルを予防できるか」と題して登壇し,誤嚥を予防する食事時のポジショニング技術を研究する「POTTプログラム」を紹介.フレイルや誤嚥性肺炎の予防につながる適切なポジショニングの技術を多職種で伝承していくことの必要性を訴えた.
 最後に中村氏が,高齢者医療の現場に携わる歯科衛生士の立場から講演.歯科医療現場でのアロマセラピーの活用をはじめとする自身の取り組みを紹介したうえで,患者への伝え方から歯科医師に提供すべき情報など,オーラルフレイルに対して現場の歯科衛生士が実践できる具体的な対応を紹介した.
会場からの質疑応答に答えるシンポジストたち
 教育講演「認知症の方のお口を支える基礎知識」では,平野浩彦氏(東京都健康長寿医療センター 歯科口腔外科部長)が登壇.認知症の病態をわかりやすく解説したうえで,さまざまな認知症患者の症例を動画で供覧しながら認知症患者を取り巻く“世界”を理解することの重要性に言及し,食事への介入を中心とする歯科的アプローチのあり方について問題提起した.
講演する平野氏
 特別講演「オーラルフレイル―我々医療者は国民に何を伝えるべきなのか―」では,飯島勝矢氏(東京大学高齢社会総合研究機構 教授)が登壇し,オーラルフレイルの概念や行政の取り組み,研究報告を紹介.フレイルには複合的な要因が関わることに触れたうえで,鍵となるのは高齢患者の「社会的」な要因であり,フレイル予防は総合知によるまちづくりそのものであると述べ,歯科・行政とのより緊密な連携を提唱した.
講演する飯島氏

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