2017/11/07
11月3日(祝),有楽町朝日ホール(東京都千代田区)にて,標記学術大会が「舌を科学する」を大会テーマとして開催された(会長:山口秀晴氏).
教育講演では「Orofacial Myology;先進的治療への新たな役割と機会」と題して,米国・シカゴで長年にわたり筋機能療法に取り組んできた歯科衛生士・Kimberly Benkert氏(元米国歯科衛生士会会長)が登壇.口腔筋機能療法の前提となる事項として「気道の評価」を挙げ,動的エクサイズの指導だけではなく,呼吸や咀嚼・嚥下,顎位,姿勢などの包括的な知識に基づいた指導を行うこと,小児科医・耳鼻科医などと連携して対応することの重要性を強調した.また,近年の話題として,新生児期からの口腔機能への介入や睡眠時無呼吸症候群に対するMFTの応用についても言及が及んだ.
特別講演1「舌機能を高めるために:胎児期からの姿勢発達を考える」では,石田房江氏(赤ちゃん歯科ネットワーク主催)が口腔機能や姿勢の発達について解説し,どちらも生後3,4カ月までの成長が重要であると強調.「身体の非対称をつくらないことが大切で,早期にみつけて適切な発達に正すべきである」として,抱っこから這い這い,寝返りまで,子育ての現場で見受けられるさまざまな姿勢に関する問題点と,その影響を指摘した.
続く特別講演2「舌圧測定が切り拓く健康寿命社会―舌圧検査とトレーニング用具の活用―」に,津賀一弘氏(広大)が登壇.津賀氏が開発した舌圧測定器および,舌トレーニング器具を概説し,検査結果に基づいた段階的なトレーニングが可能であることを示した.また,舌圧が誤嚥性肺炎発症に関連することを示唆するデータを提示したほか,本年4月に歯科保険診療に収載された舌接触補助床の評価における舌圧測定の有用性や口腔機能低下症の診断基準の1つが舌圧であることなどに言及し,舌圧を測定することの意義を訴えた.
次回,第6回学術大会は2018年10月11日(木)に開催予定である.