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日本口腔インプラント学会学術大会開催される
 9月22日(金)~24日(日)の3日間,仙台サンプラザおよび仙台国際センター(仙台市)にて,標記大会が開催された(大会長:西郷慶悦氏・嵌植義歯研究所).
 1日目のシンポジウム1「20年前のエビデンスは今?-過去,エビデンスと言われた治療は現在,どのように考えられているか-」では,最初に春日井昇平氏(医科歯科大)が登壇.「骨造成に使用する材料:自家骨から骨補填材へ」と題し,自家骨移植は依然としてゴールドスタンダードであるが,採取部位の侵襲や量の限界から足場材料としての骨補填材の開発,造成された骨をめぐる研究成果など,90年代からの変遷を詳細に紹介した.次に田中秀樹氏(九州インプラント研究会)が登壇.「前歯部インプラントの20年 過去のトレンドと将来の展望」と題し,審美領域のインプラント埋入をめぐり,GBRのチャレンジの段階であった90年代から,吸収性メンブレンなどへの器材の進歩,研究の進展に基づく術式の変遷を詳細に解説した.最後に武田孝之氏(東歯大)が登壇.「インプラント補綴の力学的偶発症への考察およびインプラント上部構造の変遷」と題し,力および病的咬合の問題がインプラント治療に及ぼす影響の解説の後,上部構造をめぐる考え方の変遷と使い分けに関する考察など,高齢社会における治療選択について述べた(座長:梅原一浩氏・青森インプラント研究会,小倉 晋氏・日歯大).
 シンポジウム4「エビデンスに基づいた審美インプラント治療」では,築山鉄平氏(九州支部)が「審美領域の歯槽堤を維持回復するための生物学的アプローチ」と題し,前歯部複数歯欠損へのインプラント治療は抜歯後に生じる歯槽堤吸収が大きいことから審美的な結果を得るためには戦略的なアプローチを取る必要があるとして,抜歯窩保存術,歯根埋没術,矯正的挺出,適切なインプラント構造の選択といったオプションを症例に応じて有効に活用するための理論的背景とそれらを実践した臨床例を供覧した.脇 智典氏(関東・甲信越支部)は「前歯部審美領域におけるインプラント埋入のタイミング」として,インプラント治療後に歯肉退縮が生じる条件と抜歯即時・早期・待時埋入といった埋入タイミングごとの使い分けに言及.さらに骨の診断においてはCBCTとボーンサウンディングが行われるがCBCTでは唇側骨の厚みが1mm以下の場合に厚めにでてしまう可能性があるとして,ボーンサウンディングによって辺縁歯槽骨の位置と形態を確認しておくことも重要と指摘した.中野 環氏(阪大)は「造成を伴う上顎前歯部インプラント治療における硬軟組織の評価-デジタルを用いたアウトカム評価から考える前歯部インプラント治療」との演題で,上顎前歯部インプラント治療においてインプラント体の埋入に加えて各種造成処置を行った場合にインプラント体の唇側にどの程度の硬・軟組織が獲得されているかについて,CBCTによる定量的な観察を行った結果を示した(座長:水上哲也氏・九州支部,萩原芳幸氏・日大).
 シンポジウム6「インプラント治療における抜歯基準の再考」では,最初に水上哲也氏(九州支部)が登壇.「インプラント治療における抜歯基準を再考する-歯周病学の立場から-」と題し,インプラントトラブルに注目されるようになったことであらためて天然歯の保存が見直されており,戦略抜歯を行っていた時代から,歯・一口腔単位・患者・術者の基準で進行した歯周病罹患歯も保存を検討する時代になっていることを,具体的な症例をもとに解説した.次に林美加子氏(阪大)が登壇.「救済すべき,あるいは救済できる垂直性歯根破折歯の要件は何か」と題し,中央部から始まる歯根破折に対し,早期の発見と接着補強によって抜歯を避けられることを指摘した.最後に福西一浩氏(ジャシド)が登壇.「穿孔歯の保存の可能性を探る」と題し,穿孔した歯の状況を部位ごとに分類し,外科的歯内療法も含めた術式を整理し,抜歯を避けてきた症例を数多く解説した(座長:原 宜興氏・長崎大,阪本貴司氏・大阪口腔インプラント研究会).
 特別講演「スマート・エイジング―認知症ゼロ社会を目指して―」では川島隆太氏(東北大・加齢医学研究所)が認知症による経済的損失が年間14.4兆円にのぼるとの試算を示し,認知症予防対策の社会的ニーズが大きいことを指摘.そこで同大では同氏をセンター長とするスマート・エイジング学際研究重点拠点を設立し,遺伝情報・健康情報・生活習慣などのデータからAI(人工知能)によって認知症リスクを判定し,早期にリスクに応じた最適な予防法を提供することで認知症ゼロ社会を目指すとしてその活動を紹介した(座長:西郷慶悦氏).
 シンポジウム7「可撤性補綴装置の設計指針」では,小林琢也氏(岩手医大)が「顎堤粘膜の過重負担から考えるアタッチメントの選択」と題し,IODのアタッチメント選択に際しては顎堤の形態や粘膜の状況,義歯床の動きを理解したうえで力を適切に分散させられるようなシステムを選択する必要があるとした.奥野幾久氏(近畿・北陸支部)は「トラブルの少ないインプラントオーバーデンチャーを目指して」として,アタッチメント選択においてはそれが位置する3次元的なデンチャースペースを考慮し,剛性を高めるためにアタッチメント上部を覆う補強構造(頂上補強)を採用するのがよいとしたほか,インプラントの埋入位置としては回転軸や将来の設計変更も見越したポジションを検討すべきとした.永田省三氏(九州支部)は「1次固定と2次固定に関する臨床基準を考える」とのテーマで,欠損補綴治療においてすれ違い咬合やシングルデンチャーといった難症例への移行を防ぐために,インプラントによる歯列の“改変”を試みた長期予後症例を供覧した(座長:大久保力廣氏・鶴見大,田中譲治氏・一般社団法人日本インプラント臨床研究会).
 イブニングセミナー3「Peri-implantitis episode Ⅲ(完結編)Peri-implantitis ≠ Periodontitis 似て非なるもの!」では,大月基弘氏(阪大)がインプラント周囲炎についてその臨床所見および病理組織学的所見,定義と検査・診断,因果関係,リスクファクター・インディケーター,治療方法とその予後について現時点で確認されていること,いないことをエビデンスに則りながら紹介した.宗像源博氏(神歯大)は,一般的には「歯周病≒インプラント周囲炎」という図式でとらわれがちであるが,インプラント周囲炎は骨吸収と細菌感染のどちらが先に生じているかを見極める必要がある疾患であると強調.前者については吸収量よりも吸収のスピードを見ることが重要とした(座長:中島 康氏・大阪インプラント研究会).
 モーニングセミナー5「チタンに代わる次世代インプラント材料の現状と将来展望」では石田雄一氏および内藤禎人氏(いずれも徳島大)が,インプラント治療における金属アレルギーを回避する選択肢としてPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)材を応用する試みを紹介.インプラント体に用いる場合,初期固定段階で骨吸収や粘膜退縮のリスクにはならないが,現時点では咬合圧負荷時や長期経過時の周囲組織の変化ならびに材質補強のための最適な複合体の素材と混合比が不明であること,アバットメントに用いる場合は任意形成がチタンより容易であるもののそれ以外にチタンの代替材料としてのメリットが現状では少ないことを報告した(座長:渡邉 恵氏,徳島大).