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第66回日本口腔衛生学会・総会開催される
 5月31日(水)~6月2日(金),山形テルサ(山形市)にて,標記学会・総会(学会長:眞木吉信氏/東京歯科大学)が1000人近い参加者のもと,「健康寿命と健康格差から考える口腔保健~田舎の予防歯科,都会の予防歯科~」をテーマに開催された.
眞木吉信学会長
 シンポジウム2(座長:荒川浩久氏/神奈川歯科大学大学院)では,「フッ化物応用に対する新しい認識」をテーマに濃野 要氏(新潟大学医歯学総合病院),吉成正雄氏(東京歯科大学口腔科学研究センター),荒川浩久氏が登壇.フッ化物配合歯磨剤がインプラント周囲炎を引き起こすという報告があるが,インプラント周囲炎を引き起こすのはフッ化物だけではないことを歯科材料のチタンの特性から報告した.また,2017年3月17日にフッ化物配合歯磨剤のフッ化物含有量,国内上限1,000ppmを超え,1,500ppmを上限とする高濃度フッ化物を配合した薬用歯磨剤が厚生労働省から承認されたことをうけ,日本歯磨工業会からあらためて報告がなされ,「6歳未満の子供への使用を控える」「6歳未満の子供の手が届かない所に保管する」注意表示についても説明された.今後「食事摂取基準」に栄養素としてフッ化物を入れること,また,すべてのフッ化物配合歯磨剤のパッケージにフッ化物濃度表示をすることを学会として提言した.
シンポジウム2の会場の様子
 シンポジウム6(座長:相田 潤氏/東北大学大学院)では,特別講演2「Focusing Upstream on the Social Determinants of Oral Health Inequalities」(Ichiro Kawachi/Department of Social&Behavioral Sciences,Harvard School of Public Health)をうけて,「歯科疾患・口腔保健の健康格差の解消に向けて」をテーマに,藤原武男氏(東京医科歯科大学大学院),近藤克則氏(国立長寿医療研究センター)が登壇.藤原氏は足立区の調査結果をもとにライフコースアプローチへの着手が必要であること,近藤氏は「教育年数が長い人ほど義歯・ブリッジの使用率が高い」「義歯使用者ほど転倒が少ない」等,あらゆる視点からの健康格差を紹介し,医学的社会的アプローチの必要性について提言された.そして,Ichiro Kawachi氏が,十分にエビデンスのある「水道水フロリデーション」と「禁煙」の二大重要事項を推進することこそがオーラルヘルス学会の役割であると,エールで締めくくった.
特別講演2,シンポジウム6の様子
 本年は歯科医療従事者を目指す学生教育に関するプログラムも充実しており,ライフコースアプローチを視野に入れた学会の未来像が垣間みえた.次回の第67回大会・総会は,2018年5月18日(金)~20日(日),札幌にて開催予定(学会長:千葉逸朗氏).

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