2016/02/10
2月7日(日),ホテルルイズ 万葉の間(盛岡市)にて,「プラークコントロールとデブライドメント~重度慢性歯周炎への非外科的治療から~」をテーマに標記セミナーが開催された.
本セミナーの講師として,重度慢性歯周炎に対する非外科的治療の長期症例を数多くもっている佐藤昌美氏(札幌市/池田歯科クリニック・歯科衛生士)が招かれ,「傾聴と共感的理解をモチベーションに取り入れる」「歯ブラシを使ったプラークコントロールを見直す」「シャープニングでデブライドメントを上達させる」の3つのポイントを掲げ,講演された.定員50名の会場には,東北各地から集まった歯科衛生士で満席となり,熱心にメモを取る様子から,日々,歯周治療に取り組み苦労されている姿が伝わってきた.
前半は「歯周治療」「モチベーション」「プラークコントロール」「デブライドメント」をキーワードに,佐藤氏が自身の失敗症例・成功症例を提示しながら,ポイントを解説.プラークコントロールやデブライドメントはインスツルメントの正確な技術が当然必要だが,歯周治療を成功させるには,患者さんのセルフケアが重要であるため,いかにモチベーションが大切であるか,特に「患者さんのモチベーションを上げるためには,関わる自分のモチベーションが一番重要」で,「患者さんに健康になってほしい」という思いをもつことこそが鍵であるというメッセージが強く心に残った.
後半はスケーラー・グレーシーキュレットのカッティングエッジの状態が,歯周治療を進めていくうえで大事なポイントの一つであることから,シャープニングの講義・実演が行われ,自身の著書『ステップアップ歯科衛生士 根分岐部病変に挑戦!プラークコントロールとデブライドメント』(2015年11月発行/小社刊)に収載されている図や解説を用いながらわかりやすく解説された.また,4グループに分けて,受講者が持参したインスツルメント(前歯部用のグレーシーキュレットと砥石)を用いながら,シャープニングの実技指導も実施.それでもセミナー中にグレーシーキュレットを上手に研げず,終了後に佐藤氏に直接指導してもらうべく順番待ちする受講者の姿もみられ,シャープニング後の切れ味に驚いている様子が印象的だった.
参加されたすべての歯科衛生士が,明日の診療から即いかせる知識を習得し,持参したインスツルメントの切れ味まで確認できる,このような充実したセミナーを今後も期待したい.