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「全都講習会2015」開催される
 2015年11月15日(日),東京都歯科技工士会主催の標記講習会が,「最新メタルレス・デジタル・デンティストリー」とのテーマのもとで,昭和大学旗の台キャンパス(東京都品川区)にて開催された.本講習会では昭和大学歯学部,昭和大学歯科病院に所属する4名の講師によってデジタルデンティストリーに関する最新の知見が紹介され,参加した88名の歯科技工士らが熱心に耳を傾けた.
 まず,宮崎隆氏(昭和大学歯学部歯科保存学講座・同大歯学部長)が「最新メタルレス・デジタル・デンティストリー」と題して,歯科におけるデジタル化の歴史やCAD/CAMに用いられる各種歯科材料の物性比較,今後のデジタルデンティストリーの展望などをわかりやすく解説した.デジタル技術の医療分野への応用例として医科における手術支援ロボットの登場についても紹介しつつ,CAD/CAM冠の保険収載や口腔内スキャナーの管理医療機器(クラスⅡ)への登録などによって,歯科においても今後さらにデジタル化の流れが進むであろうとの見解を語った.
 続いて馬場一美氏(昭和大学歯学部歯科補綴学講座)が「最新デジタル・デンティストリーの歴史」をテーマに講演した.冒頭でCAD/CAMでの製作が可能な4種の材料(ハイブリッドレジン,二ケイ酸リチウムガラスセラミックス,ジルコニア+ポーセレンレイヤリング ,フルジルコニア)について,その材料学的特性と適応を症例を交えて概説し,各材料の特性をよく見極めたうえで使用することが重要であると述べた.そして,歯科医療と歯科技工のデジタル化によって生まれる新たなワークフローによって,効率化,高い再現性の確保,データの保存,技術の均一化など,さまざまなメリットがもたらされることを紹介した.

 田中晋平氏(昭和大学歯科病院インプラントセンター)は「インプラント治療におけるデジタル・デンティストリー~ボーンアンカードブリッジとインプラントオーバーデンチャー症例から~」と題し,デジタル化が特に進んでいるインプラントの症例を中心に,デジタルデンティストリーの利点について説明した.その一方で,”デジタルデンティストリーは従来のワークフローに比べ柔軟性に欠ける””デジタルでは安定して一定水準の品質のものを製作することができるが,現状では間接法でなければ最良の適合は得られない”とも述べ,デジタルの限界についても理解する必要性を訴えた.
 講演のなかでは,上村江美氏(昭和大学歯科補綴学講座)による口腔内スキャナーの実演も行われ,片顎で約1分程度というスピーディな光学印象に,多くの参加者が見入っていた.
 最後に鍜治田忠彦氏(昭和大学歯科病院歯科技工室)が,「歯科技工におけるデジタルとアナログの融合 歯科技工におけるデジタル化~新たな領域と進化したワークフロー~」との演題で登壇.昭和大学病院におけるデジタル化の歴史を振り返りながら,その経験をもとに現在導入している各CAD/CAMシステムの特徴について説明したうえで,機械では再現できないアナログ的な技術や臨床経験を伝承していくことの重要性も強調した.そして,氏が大切にしているという「CAD/CAM使用の心得5箇条」を紹介し,アナログにおいてもデジタルにおいても,まずは「当たり前のことをきちんとする」ことが大切であると訴えた.

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