2015/10/28
10月17日（土），18日（日），呉羽ハイツ（富山市）にて，標記の会が開催された．本会は，牧野 明氏（富山県開業）が主宰するスタディグループ「富山剱の会」に所属する医院のスタッフが中心となって年1回行われるもので，今年で16回目となる．
参加するほぼすべてのスタッフが会員発表を行うことが特徴の本会では，「プロービング」「シャープニング」など歯周治療に必要な知識をまとめた発表と，症例報告で構成される．若手歯科衛生士による症例報告では，「初めて重度歯周病患者を担当して」「歯周基本治療による歯肉の変化」などをテーマに，症例をとおして学んだことや気づき，これからの課題が発表された．またベテラン歯科衛生士は，薬剤の副作用による歯肉増殖，咬合性外傷を伴う歯周炎，メインテナンス中の歯周病の急性症状などの症例を提示し，患者への配慮や指導，歯周基本治療の詳細について解説した．
特別講演に新田 浩氏（医歯大）が招聘され，「デンタルスタッフが知っておくべき歯周治療の概念のアップデート」と題して，「インフェクションコントロール」「炎症と咬合」「ペリオドンタルメディスン」について解説した．インフェクションコントロールに関して，これからは行動学的なアプローチが必要であるとして，motivational interviewing（MI）を紹介．MIは，患者のモチベーションや意志を医療者が共感，支援する，患者を中心としたコミュニケーションの技法であり，そのための質問の仕方，共感の伝え方など，具体的な方法についても説明があった．また，議論されて久しい炎症と咬合性外傷の問題や，歯周病と全身疾患の関連については，最新の研究を交え，現在の知見をわかりやすく解説した．