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日本歯科衛生学会 第10回学術大会 開催される
 9月20日(日)~22日(火),札幌コンベンションセンター(札幌市白石区)にて「食べる楽しみを支える口腔ケア」をメインテーマに表記大会が開催され,1,300名余を集めた.
 2日目の記念講演「歯科衛生士法改正と業務の展望」では,金澤紀子氏(日本歯科衛生士会顧問・前会長)が登壇した.本年から施行され,話題となった歯科衛生士法改正の趣旨を解説しながら,超高齢社会における歯科衛生士の役割の変化に言及.今後の展望として,社会背景に即した歯科衛生士教育のさらなる推進を提言し,「変化に対応する力こそが成長の鍵である」と聴講者にエールを送った.
講演する金澤氏
 特別講演「最期まで口から食べるための在宅支援と地域づくり」では,新田國夫氏(医療法人社団つくし会)が登壇.今後ますます加速する超高齢社会において“豊かに生き,豊かに死ぬ”ために必要なこととして,社会への参加と口から食べることをあげた.そのうえで,現在の医療のトレンドや自身の在宅へのかかわりなど多様な観点から,地域医療における多職種連携に歯科衛生士が参加することの重要性を説いた.
講演する新田氏
 また,今回はじめての試みとして,交流集会「歯科衛生士のワーク・ライフ・バランス実現のために―働き方とキャリアアップを考えよう―」が開催された.まず小原啓子氏(株式会社デンタルタイアップ)が「歯科衛生士のワーク・ライフ・バランスにおける成長と課題」と題し,歯科衛生士の復職率が低い現状と,その原因を考察.ワークライフバランスに対する国の施策例に触れながら,歯科衛生士自身が歯科医院という組織の経営を理解したうえで労働環境をつくりあげることの必要性を訴えた.その後,参加者からは活発に意見や質問があがり,小原氏や金澤氏らの助言からさらに議論が生まれ,会場はおおいに盛り上がった.
講演する小原氏
交流集会の様子
 3日目のシンポジウム「食べる楽しみを支える多職種の連携」では,平野浩彦氏(東京都健康長寿医療センター研究所 社会科学系専門副部長),山田律子氏(北海道医療大学看護福祉学部教授),安田淑子氏(地域食支援グループ ハッピーリーブス),渡邊由紀子氏(元気なお口研究会まほろば代表)の4名が登壇した.まず平野氏が,これまでの歯科界における高齢者施策を振り返りながら,介護業界において口腔の問題が置き去りにされてきた実情を指摘.歯科が地域包括ケアシステムに参画していくために,フレイルやサルコペニア,認知症といった健康長寿にかかわるトピックを理解し,歯科医療職自身も地域の一住民としてかかわるという姿勢をもつことの大切さを訴えた.
 山田氏は看護師の立場から,特に認知症患者への食支援が地域における多職種連携の入り口となることを述べ,初期からの歯科衛生士のかかわりの重要性に言及.安田氏は管理栄養士として,在宅医療現場における歯科衛生士との協働について症例を用いながら紹介した.最後に,渡邊氏が歯科衛生士の立場から地域包括ケアシステム内で歯科衛生士がもつべき視点や職能に言及し,高齢者の生活の質を守り,社会に貢献できることのすばらしさと魅力を説いた.
ディスカッションの様子
 教育講演「歯科衛生研究倫理と倫理審査について」では,石井拓男氏(東京歯科大学副学長)が登壇.科研費助成のもとで研究を行う歯科衛生士が増えつつある背景に触れ,医学研究の倫理指針を紹介しながら医療研究者として求められる姿勢に言及した.また,倫理審査委員会の役割や研究用語などの解説も交えながら,科学的妥当性と医療倫理の両輪を備えた歯科衛生研究を行うべきとした.
講演する石井氏

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