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日本臨床歯周病学会 第33回年次大会開催される
 2015年7月18日(土),19日(日),仙台国際センター(仙台市青葉区)にて日本臨床歯周病学会 第33回年次大会が1,300名余を集めて開催された.
歯科医師教育講演は,「東北連携を基盤とした歯科再生医療の開発」(斎藤正寛氏/東北大),「iPS細胞が可能とする歯科医療とは」(江草 宏氏/東北大)の2題.幹細胞を用いた歯周組織再生医療の可能性のみならず,幹細胞の細胞源としての口腔組織の可能性についても,その現状が解説された.
歯科医師基調講演では,「歯周再生療法の治療結果の長期安定性」と題し,佐藤直志氏(秋田県・佐藤直志歯科医院)が登壇.適切なフラップキュレッタージにより大部分の症例の長期的予後が得られるとし,再生療法の登場場面はより限定的になるべきであることを示唆した.そのうえで,再生療法の効果的な活用場面について,長期臨床経過より解説された.江澤庸博氏は「歯と歯周組織の解剖学」とのテーマで講演し,日本人に特徴的な根面形態を示しながら,再生療法の前提となるルートプレーニングの技術向上のための知識を紹介した.

 歯科衛生士対象のプログラムとしては,18日冒頭に,初の試みとなる認定歯科衛生士を対象とした講習会「CEC Platinum」を開催.「メインテナンスにおける歯科衛生士の視点~変化をとらえる眼と観察力」とのテーマのもと,冒頭で鈴川雅彦氏(広島市開業)がプロービング時に必要な上皮と歯肉の結合様式についてアニメーションを交えて解説,プローブと組織の“サイズ”を意識し,付着を破壊に配慮したプロービングを心がけることの重要性を強調した.また,大住祐子氏(大阪府・貴和会新大阪歯科診療所),塩浦有紀氏(東京都・熊谷歯科医院),下田裕子氏(福岡県・水上歯科クリニック)らが,関連する症例を供覧し,組織を意識した検査のあり方や長期メインテナンス継続のための取り組みなどについてディスカッションを深めた.
講演する鈴川氏
  つづく歯科衛生士教育講演「歯科衛生士への提言―手業の心」では,山本浩正氏(大阪府開業)が歯科衛生士が行う検査と職人の“手業”とを比較.歯科医療においては,職人の世界同様,“私的データーベース”である自らの経験値も重要であり,臨床への感度を上げるための修練やパフォーマンスを最大化するための道具(インスツルメント)の手入れが臨床の質を高めると述べた.また,医療における“自分らしさ”とは,先達の技術をまね,師には到底及ばないという不充足感からこそ生まれるのではないか,と語った.
歯科衛生士教育講演の山本浩正氏
19日の歯科衛生士特別企画では「変わりゆくもの・変わらないもの」と題して,村上恵子氏(東京都・村上歯科医院),小林明子氏(東京都・小林歯科医院),品田和美氏(東京都・黒田歯科医院)らベテランの歯科衛生士がそれぞれ「調和」「追求」「継続」の大テーマのもと講演.「調和」を担当した村上氏は,歯周病を感染症,生活習慣病の観点から捉え直したうえで,歯だけでなく全身を鑑みたメインテナンスを継続すること,超高齢社会のなかで家族・介護者を中心とした地域との連携を深めることがこれからの歯科衛生士のミッションであるとした.また,小林氏は修復・補綴治療が行われた口腔内の経年的な変化について供覧し,補綴材料およびその変化を知ったうえでケア方法を選択することの必要性について解説を加えた.「継続」のテーマを受けた品田氏は,“口腔”だけではなく患者さんの生活も含めた“人”へと視点を広げること,ライフステージごとの変化に寄り添っていくことの重要性を自身が担当してきた長期症例を紹介しながら解説した.
歯科衛生士口演の発表者
歯科衛生士特別企画の様子

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