2月28日(土)~3月1日(日),アクロス福岡(福岡市中央区)にて表記大会が開催され,全国各地から800余名が参加した.創立30周年記念にあたり,日本審美歯科協会発祥の地である福岡で開催された本大会では,「美を巡る旅・第三章―あくなき挑戦―」というテーマのもと,審美修復やインプラント,歯内療法や歯周治療など,あらゆる歯科分野の講演とテーブルクリニックが多数行われた.

開会式の様子

開会の挨拶をする大村祐進氏
講演会では,初日は「歯内療法」「マテリアル前歯部審美修復」「歯周外科」,2日目は「歯周外科を伴った審美」「矯正とのコンビネーション」「インプラント」「フルマウスリコンストラクション」のテーマに分かれ,それぞれの分野における気鋭の歯科医師らが登壇.
白石和仁氏(北九州市開業)は「審美領域における歯周外科処置の変遷」と題し,歯周外科治療におけるコンセプトの潮流の変化から,長期的な歯周組織,および審美性の安定を得るための治療法を提起した.南 清和氏(大阪市開業)は「審美修復治療における顔貌・口唇との調和を考慮した診査・診断の重要性」と題し,ガミースマイルを伴う歯周外科治療施術例を供覧しながら,明確なゴールを見据えた診断と治療計画の立案の重要性に言及.
韓国の会員である金 眞希氏(JOHUN Dental Office)は「Full mouth rehabilitation using occlusal veneer」と題し,韓国における患者の疾患特徴に基づいた咬合再構成における処置要項を紹介した.本講演会の最後には会長である大村祐進氏(山口県開業)が登壇.「フルマウスリコンストラクションのための包括的アプローチ」と題し,審美的な治療コンセプトにおいて,歯科の全分野にわたる総合的なアプローチの重要性をあらためて提示した.

白石和仁氏

南 清和氏

金 眞希氏
歯科衛生士セッションでは,初日は8演者がそれぞれの取り組みを発表.台湾と韓国の会員歯科衛生士も登壇し,さまざまな演題のもと審美歯科への歯科衛生士のかかわりの重要性が示された.
2日目は貴島佐和子氏(大阪府・南歯科医院)と天野敦雄氏(大阪大学大学院歯学研究科)が講演.貴島氏は「健康で美しくあるための各々に応じたS.P.T」と題し,“Longevity”の観点から歯科衛生士によるSPTの意義を提示.重度の歯周炎や糖尿病の併発といったさまざまな症例と自身の経験を紹介しながら,歯のLongevityを実現するための歯科衛生士のかかわり方に言及した.天野氏は「歯周治療レベルアップ~歯周病を知る~」のもと,最新の知見を紹介しながら歯周病のメカニズムなどを解説.SRPや患者指導など日常臨床に活かせる学術的な知識を明快かつユーモラスに解説し,会場を大いに沸かせた.

1日目の歯科衛生士セッションの様子

貴島佐和子氏

天野敦雄氏