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第5回日本歯科衛生教育学会総会・学術大会 開催される

 2014年11月29日(土),30日(日),兵庫県歯科医師会館および兵庫歯科学院専門学校(神戸市中央区)にて,標記の学会が開催された.大会長は大頭孝三氏(兵庫歯科学院専門学校).5回目となる今大会は,「歯科衛生学の確立を目指して」―科学的な思考を育むカリキュラムデザイン―をテーマとし,371名が参加する盛会となった.

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会場の兵庫県歯科医師会館前.左は兵庫県歯科医師会イメージキャラクターの「でん太」くん

 1日目はまず,開会の挨拶に続いて眞木吉信氏(東京歯科大学)が「教育への提言」と題して登壇.最近歯科界において話題となっている「歯磨剤中のフッ素がインプラントのチタンを腐食させる」という説について,実験データをもとに,歯磨剤中のような低フッ化物濃度下ではチタンの溶出はみられないと解説.情報を安易に鵜呑みにするのではなく,エビデンスに基づく科学的思考によって判断することの重要性を訴えた.

 教育講演Ⅰ「”考える力”を培うために―生化学の担う役割―」では,池尾隆氏(大阪歯科大学)が,近年の医療系学生の問題点として,学力の低下よりも「Study Skill」の低下が著しいと指摘.「自ら気づき,自ら学び,成長していける『力』」と「目の前の現実を俯瞰して捉える『視力』」を培うことが必要であると説いた.そのうえで,歯科衛生士養成機関において生化学分野の教育を担当してきた自身の経験を交えつつ,”プロジェクト学習”や”反転授業”,“チーム基盤型学習法(TBL)”など,学生の主体的な学びを引き出すための多様な教育手法を紹介した.

 教育講演Ⅱ「全身状態の把握と周術期管理の歯科衛生教育での視点(その2)」では,山根源之氏(東京歯科大学)が登壇.まず現在の歯科衛生教育の問題点として,全身を理解できる歯科衛生士が少ないと述べ,これからの歯科医療においては全身状態の理解が前提になると強調した.そして昨年の同学会における講演に引き続き,様々な全身疾患についてその概要や口腔への影響,歯科治療時の留意点や院内感染予防策,発作時の対応まで,幅広い視点から解説した.そして,今後の歯科衛生士教育への提言として,多職種連携のためには医学の常識を理解しカルテを読める力を身につけることが重要であり,そのためにはオーラルメディシン学(口腔内科学)教育の充実や総合病院における臨床実習の機会を増やすことが必要であると述べた.

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講演を行う池尾氏
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山根氏

 シンポジウム「科学的思考力を育む臨床教育―臨床教育に歯科衛生過程をどう活かすか―」(コーディネーター:畠中能子氏・関西女子短期大学)では,陽川信子氏(近畿中央病院),河田尚子氏(兵庫医科大学病院),淀川尚子氏(九州看護福祉大学)の3氏が,臨床現場および臨床教育における歯科衛生過程の活用事例を報告した.陽川氏は臨床現場の取り組みについて発表.歯科衛生過程を用いてケアプラン・教育プラン・観察プランを具体的に提示することで,他職種が口腔衛生管理の方向性や手法を知ることができると述べ,チーム医療を進めていくうえで歯科衛生過程が非常に有用であると強調した.河田氏は口腔機能管理をCREATE(Clean:清掃,Rehabilitation:リハビリ,Education:教育,Assessment:評価,Treatment:歯科治療,Eat or Enjoy:食べる,楽しむ)の5要素に整理して取り組んでいる自院の事例を報告.特に"A"の的確な専門的評価とそのための情報収集が重要であるとして,実習生が情報収集の経験を積むことができるよう取り組んでいる内容について紹介した.淀川氏は教員の視点から臨床教育の現状と課題について発表.歯科衛生過程によって学生が患者を全人的に捉え,生活者としてのニーズを考えることができるようになるとしたうえで,さらなる歯科衛生過程教育の発展のためには教育現場と臨床現場の連携が不可欠であり,両者が歯科衛生過程という概念についての共通認識を持つことができるようになることが急務であると訴えた.

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シンポジウムの様子

 2日目には,特別講演「今後の日本の歯科衛生士の役割とその教育を考える」として,中垣晴男氏(愛知学院大学)が講演した.まず近年の健康科学における様々なトピックスを解説し,国民の健康づくりを支援していくうえで歯科衛生士が専門職として果たすべき役割は大きいと強調.また海外各国における歯科衛生士の業務や教育についても紹介し,世界的に歯科衛生士が自律的に業務を行う方向へと移行していることを説明した.このような背景をもとに,今後の歯科衛生士教育への提言として,歯科衛生過程についての教育を充実させて歯科衛生士の専門性を確立させるとともに,学び方を身につけ,学び続けることのできる歯科衛生士を育成していくことが重要であると訴えた.


 また一般発表として口頭発表8題,ポスター発表12題の発表も行われ ,多くの聴講者が熱心に聞き入っていた.

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ポスター発表の様子

 次回第6回大会は,2015年11月28日(土),29日(日),神奈川歯科大学(神奈川県横須賀市)にて開催予定.

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