10月16日(木)，日本歯科器械会館(東京都台東区)において，報道関係者を対象としたJADIS(日本歯科インプラント器材協議会)主催の第3回メディアセミナーが開催された．
日本歯科インプラント器材協議会(黒田和彦会長)は，2002年に発足した歯科インプラントや関連器材を販売する19社で構成される業界団体．学会や業界関連団体と協同で市民フォーラムの開催，セミナーガイドラインの策定などインプラントの安全性を高める取り組みを進めている．
今回は古谷野潔教授(九州大学大学院歯学研究院・日本口腔インプラント学会常務理事，学術委員長)による講演「口腔インプラント治療の進歩と再生医療」が行われた．古谷野氏は，歯の喪失・欠損の形態を整理し，加齢とともに喪失歯数が増加すること，その結果として欠損補綴が必要で，選択肢としてインプラントが重要なオプションとなっており，口腔に関するQOLの向上における重要なファクターとなっていることを説明．また，インプラント埋入時に問題となる顎骨の不足を骨増生により回復する方法として，骨移植，上顎洞底挙上術，ソケットリフト，GBR，挺出などそれぞれの長所短所に触れ，代替骨や補填材についての現在の到達点と，CAD/CAMや3Dプリンターの可能性などこれからの治療について解説した．また，再生医療の視点から，幹細胞の臨床応用として歯の再生が実験的には可能としながらも，生体への応用はまだ先のことと述べ，歯科での再生医療の応用が骨・軟組織の増生や歯の再生，早期のオッセオインテグレーションの獲得などに期待がもてることから，インプラント治療の適応症の拡大，治療期間の短縮，偶発症の防止などにつながることを示唆した．