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ライオン歯科材主催「SPTシンポジウムin東京」開催される

 2014年9月15日(祝),JPタワーホール&カンファレンス(東京都千代田区)にて,ライオン歯科材株式会社主催の標記シンポジウムが開催された.本シンポジウムは,病状安定した歯周病を長期に維持する治療であるSPT(Supportive Periodontal Therapy)の重要性を啓蒙するもので,三上 格氏(北海道開業),内山 茂氏(東京医科歯科大学臨床教授),片山章子氏(フリーランス),伊藤公一氏(日本大学歯学部特任教授)が講演を行った.
 最初に登壇した三上氏は,「歯周治療を得意技に加えよう~SPTを理解しよう」と題して,歯周病の原因とSPTの基本となる考え方を解説.歯周病の原因として,炎症性因子と外傷性因子の2つがあるとして,炎症のコントロールとともに,日常摂取する飲食物の種類や食べ方,習癖なども含めた「力のコントロール」を行っていく必要性を強調した.また,病状安定した歯周組織を安定させるというSPTの意義と,治療全体における流れを説明したうえで,プロケアとセルフケアの両方に対してSPTの戦略を立て,口腔を守っていく歯科衛生士は,“治療者”であり“モチベーター”である,とエールを贈った.

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 続いての内山氏の講演「ケア発想の歯周治療~SPT期のプロフェッショナルケア」では,米国歯周病学会の最新のコンセンサスレポートの内容を引用しながら,SPTにおいては,全身疾患への対応,およびオーバーインスツルメンテーションへの配慮が求められていると言及.SPT移行後のプロケアでは,“歯周環境を整える”視点で低侵襲で行うことが肝要であるとし,デブライドメントで用いる器具・器材と操作時のポイントとともに,力の問題に気づく眼をもつことも長期の口腔の安定のためには不可欠であるとした.

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 また,片山氏は「個性に合わせるセルフケア~オーダーメイド発想のセルフケア処方~」とのタイトルで,SPTにおけるセルフケアの提案を中心に解説.患者さんごとのリスク,口腔内の個性,生活背景・価値観などを鑑みたセルフケアの提案の実際について,症例や実際に提案するセルフケア用品の実例を交えながら具体的に解説し,歯科医院全体で“セルフケアの処方”を行うシステムをつくっていくことを推奨した.

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 最後に登壇した伊藤氏は,「草創と守文と孰れが難き(国を新しく創ることと,それを継承して守り治め続けることのどちらが大変か)」という故事を引用しながら,動的治療と維持的治療(SPT)の役割について聴者に問いかけ,慢性疾患である歯周病では,病状安定となった状態を維持していく,つまり生涯にわたって患者ごとの価値観に応じた「支える医療」を実践していくことが求められているとした. 

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講演後のディスカッションタイムには,内山氏の司会のもと,SPTの実践や臨床における悩み等についてスリリングな議論が交わされ,満員の聴衆を魅了していた.

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