7月19日(土),20日(日)九州大学医学部百年講堂にて,標記の学術大会が開催された.大会長は古谷野 潔氏(九大)で,およそ750名の参加者を集めた.
19日午後のメインシンポジウム「世界の潮流から考えるこれからの顎関節症治療:分類,診断基準の変革がもたらすもの」では,顎関節症について米国における診断基準(DC/TMD・主として研究用に用いられる診断基準)について(有馬太郎氏・北大)にはじまり,日本顎関節学会による顎関節症の病態分類と診断基準について(矢谷博文氏・阪大),米国口腔顔面痛学会(AAOP)のガイドラインについて(築山能大氏・九大)と,世界的に主要な診断基準やガイドラインについて解説がなされた.また,国際頭痛分類の概要とその中における顎関節症の位置づけ(井川雅子氏・静岡市立清水病院)とDSM-5についての解説(宮地英雄氏・北里大学)も併せて発表されるなど,顎関節症について世界的な潮流や関係する領域・分野と連携などを考えさせるシンポジウムとなった.
メインシンポジウムの様子
その他,「顎関節症の病因としてのブラキシズム」(座長:窪木拓男氏・岡山大),「顎関節症に対する理学療法の実際」(座長:和嶋浩一氏:慶応大),「顎関節症の痛みに対する薬物療法の実際と展望」(座長:千葉雅俊氏・東北大)と題するシンポジウムが開かれ,各トピックについて知見が深められる内容であった.
19日夜のイブニングセミナー「一般臨床医が治す顎関節症―問診・診察・検査・鑑別診断・治療―」では,顎関節症を日常的に診療する演者らが,表題にある項目についてその手順や注意点などを症例に基づきながら解説.聴衆からも臨床上の疑問などが出され、活発な議論が交わされた.
イブニングセミナーの講師.右から甲斐貞子氏(福岡県開業),高野直久氏(東京都開業),野澤健司氏(東京都開業),門脇 繁氏(北海道開業),塚原宏泰氏(東京都開業)
20日には近藤壽郎氏(日大松戸)による「顎関節の臨床局所解剖」と題した教育講演では,実際の解剖時に撮影した画像をもとに顎関節を解説.X線やCTなどではわからない,関節や神経,血管などの状況が示された.
次回,第28回総会・学術大会は2015年7月3日(金)~5日(日)に名古屋国際会議場(名古屋市)において開催予定.