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第63回日本口腔衛生学会・総会 開催される

 5月29日(木)~31日(土),熊本市民会館崇城大学ホールにて,標記学会・総会(学会長:前野正夫氏/日本大学歯学部衛生学講座教授)が,約900人の参加者のもと開催された.
 29日,ミニシンポジウムでは,「歯科衛生士に求められる地域での連携」「周術期の口腔機能管理の展開」「大規模災害時における歯科保健医療活動」「禁煙」について,それぞれ複数の演者が登壇し,議論が交わされた.「歯科衛生士に求められる地域での連携」では,歯科医療現場と歯科衛生士教育を結ぶという点から,総合病院でチーム医療の一員として奮闘している古川由美子氏(寿療会熊本機能病院・歯科衛生士)と猪野恵美氏(長崎みなとメディカルセンター市民病院・歯科衛生士)から現場の報告,そして高阪利美氏(愛知学院大学短期大学部歯科衛生学科教授)から専門職連携(IPE)教育への取り組みについての報告がなされ,立ち見が出るほどの参加者が熱心に聴講していた.

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 30,31日には,昨年に続き「サイエンティフィック・エクスチェンジ」や「集団フッ化物洗口の普及」「全身健康のための口腔保健Ⅰ~肥満・糖尿病・メタボリックシンドロームとの関わり」「全身健康のための口腔保健Ⅱ~熊本県における具体的な保健医療連携の試み」「研究マインドの促進と実践」「エンドポイント」「思春期の学校歯科保健」とバラエティに富んだプログラム構成による7つのシンポジウムが開催された.「集団フッ化物洗口の普及を考える」では,市野浩司氏(熊本県菊池保健所)と岩瀬達雄氏(佐賀県健康福祉本部副本部長,歯科医療総括監,佐賀県口腔保健支援センター長)より,それぞれの小中学校での集団フッ化物洗口の実施状況と実施効果等が報告され,眞木吉信氏(東京歯科大学社会歯科学研究室教授)より,「毎日(週5回)法」と「週1回法」それぞれについて,フッ化物応用委員会の立場から「フッ化物洗口剤の用法・用量の追加承認と標準的な洗口方法の提案」がなされた.会場から質疑・応答による活発な議論が交わされ,同氏より現場の要望・意見を取り入れながら,近いうちに正式に提案する旨報告された.
 特別講演1では,「人生は夢」をテーマに蒲島郁夫氏(熊本県知事)より,苦労された幼少期から県知事になるまでの自身のストーリーと「人生の可能性は無限大,逆境の中にこそ夢がある,夢を持ち,夢に向かって一歩踏み出す,期待値を超える120%の努力」という信念を持ち続けることの大切さについて講演された.講演途中から熊本県の営業部長である「くまモン」も登場し,会場のボルテージはさらに上昇.全国中下位に位置する熊本県の12歳児のDMFT指数改善のために,小中学校でのフッ化物集団洗口を26年度には70%を超える(予測)までの実施普及率にするほど熱心な歯科口腔保健への取り組みを行う知事とくまモンの営業活動に聴講者は感銘を受け,会場からの拍手が鳴り止まなかった.

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 特別講演2「新たな視点から歯周病と全身疾患を考える」では,落合邦康氏(日本大学歯学部細菌学講座教授)が,微生物感染(歯周病,肺炎,食中毒など)は粘膜から発生し,それに加齢や遺伝的背景,基礎疾患などの要因が加わることにより全身の免疫力低下が起こるメカニズムについて解説された.ヒトの常在細菌叢は歯垢1011/g,唾液10~9/mlの約700種,糞便は1011/gの約1,000種であり,細菌密度としては,糞便よりもプラークのほうが高いこと,また,糞便は排泄されるがプラークは停滞することを考えると,口腔診断を含め,いかに歯科医療における役割が重要であるかを提言された.

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 3日間を通し多彩な演題が組まれ,「口腔保健から全身の健康を考える」歯科医療・歯科口腔保健へのあり方及び多職種との連携が一層重要であることを認識させられる場となった.
 次回,第64回学会・総会は,2015年5月27日(水)~29日(金),つくば国際会議場(茨城県)にて開催される予定である.
 

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