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「アイキャストワールド2014」開催される

 4月20日(日),JA共済ビルカンファレンスホール(東京都千代田区)にて,126名の歯科医療関係者参加のもと標記講演会が開催された(主催:株式会社アイキャスト).本会は「デンチャーコース」と「クラウンブリッジコース」の2会場に分かれて開催され,それぞれ4名の演者が講演を行った(以下,3演題を抜粋して報告).

 デンチャーコースでは,村岡秀明氏(千葉県市川市/村岡歯科医院.歯科医師)が「フラビーガム症例にどう対応するか」と題して,上顎前歯部でフラビーガムを呈した患者への対応について,動画や(タッチペンを用いた即興の)イラストなどをふんだんに活用してわかりやすく紹介した.「結論を簡潔にいえば,フラビーガムになるということは旧義歯があるということなのだから,そのコピーデンチャーを製作して,改造していくのがよいと思います」とのことで,どの時点においても可逆的でいられるように,旧義歯には手を加えないという村岡氏の方針を展開した.コピーデンチャーの改造に関しては,上顎結節で抱え込むために辺縁を口蓋と同じ高さにすること,後縁を確実に封鎖することをクリアしたうえで,咬合調整を行うという順序が提示された.


web 村岡先生.jpg 村岡秀明氏

 続いて,前畑 香氏(神奈川県三浦郡/ナカエ歯科クリニック.歯科医師)が「失敗症例から学ぶ床外形の設定~シリーズ 落第点をとらない総義歯治療~」との演題で,床外形の設定に失敗した症例より,解剖学的ランドマークに配慮し,口腔周囲筋や粘膜に調和した床外形の設計の提案を行った.必要最低限の解剖学的ランドマークとして,上顎は① 正中小帯,② 頬小帯,③ 上顎結節,④ バッカルスペース,⑤ ハミュラーノッチ,⑥ 口蓋小窩,⑦ A-line,⑧ 切歯乳頭および口蓋ヒダを挙げ,下顎は① 下唇小帯,② 頬小帯,③ 舌小帯,④ 染谷のスジ,⑤ 舌側のスジ,⑥ レトロモラーパッド,⑦ 外斜線,⑧ 顎舌骨筋線,⑨ パサモンティーの切痕,⑩ 頬棚を挙げた.これらの解剖学的ランドマークに配慮した印象採得を行ったうえで,歯科医師の考える外形線と歯科技工士が考える外形線を近づけることが重要であると結論づけた.

 クラウンブリッジコースでは,高辻威志氏(東京都品川区/J.ジョークラフト.歯科技工士)が「新規素材,歯科補綴物への可能性を探る~ポリエーテルエーテルケトン(以下,PEEK)の一考察~」との題で発表し,ヨーロッパでは数年前から臨床応用されているスーパーエンジニアリングプラスチック(判結晶性の最高級性能を有する樹脂)であるPEEKについて,その材料学的特徴や臨床例をとおして解説した.PEEKは耐薬品性に優れ(汎用化学薬品のなかでは濃硫酸によってのみ溶解する),耐熱温度も240℃と高く,曲げ強度においてもハイブリッドレジンに匹敵し,靱性が高く,コンポジットレジンに比較して割れにくいという特徴を有する.ただし,現状においては接着が困難であり,PEEKに適したプライマーや接着材の開発が待たれるところであるが,前述のような特性に加え,金属アレルギーを生じさせず,またプラークが付着しにくいことも鑑みると,今後歯科への臨床応用が期待できる新素材であるとまとめた.

 その他,8名の歯科技工士によるポスター発表も執り行われ,昼食休憩時にはフロアの参加者との質疑応答も活発に交わされた.

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