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ボストン大学歯学部補綴科 公開セミナー開催される

 4月6日(日),ザ・プリンス パークタワー東京(東京都港区)において,標記のセミナーが開催された.本セミナーはボストン大学歯学部大学院を修了した武居 純氏(神奈川県開業)および穂積英治氏(愛知県開業)をモデレーターとして企画された.およそ170名の参加者を集めた.
 セミナーは武居氏による開会挨拶から始まり,今回のセミナー開催の意義や各プレゼンターによる発表の聞き所などを紹介された.
 
 最初のプレゼンターはDr. Steven Morgano氏(ボストン大学歯学部補綴科教授)による “Things that are important to know about removable prosthodontics”(可撤性補綴義歯で知っていなければいけない重要ポイント).はじめに「なぜ総義歯が失敗するのか」と問いかけ,総義歯に欠かせない要素として「支持」「安定」「維持」を紹介.それぞれの要素を満たす総義歯の作製法,とくに印象採得と辺縁形態について細かい説明を加えた.パーシャルデンチャーについてもその設計方法について解説.先行文献を示しながらパーシャルデンチャーデザインの要点を示し,最終的には「重要なのはクラスプのデザインではなく,サーベイラインである」と話した.
 
 続くプレゼンターはDr. Federico Castellucci氏(ボストン大学歯学部臨床助教授,香港開業)による “Restoring Posterior Teeth and Implants ”(臼歯部の欠損補綴とインプラントについて).まず,自身の臨床からの豊富な症例を紹介し,診療に当たる姿勢を説明.その後,臼歯部補綴に際しては「アナトミー」(解剖学的な形態),とりわけ「エマージェンス・プロファイル」(Castellucci氏は「エマージェンス・アナトミー」と表現)が重要であり,この点を適切に設計することによりメインテナンスが容易な補綴物の作製ができるとと説明した.
 
 休憩を挟んで午後最初のプレゼンターはDr.Dan Nathanson氏(ボストン大学歯学部修復科チェアマン)による “All ceramic restorations in modern dentistry: What works and what does not” (現在のオールセラミック修復:その適応と禁忌)で,修復の素材や技術についての歴史と最新の事情について解説した.まずは修復の材料の歴史について19世紀後半からの流れを説明.主にPFMとセラミックスの違いや現状について解説した.次いでCAD/CAMの導入とそれによる修復治療の変化や新たなマテリアルの特徴などに触れた.次々と小型化される口腔内スキャナーなど,テクノロジーの進歩は著しいが,最終的に補綴物の質を決めるのは “It’s not technology but Technician ”(テクノロジーではなくテクニシャン)として,歯科技工士との連携の必要性を強調した.

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Dr.Morgano
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Dr.Castellucci
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Dr.Nathanson


 続いて,Dr. Hideo Yamamoto(山本英夫)氏(ボストン大学歯学部講師)が登壇.テーマは “Long Term Success of Prosthodotics Treatment – Multidisciplinary approach to material selection”(長期予後を考えた補綴治療-包括的アプローチから材料選択まで)で,各専門医が集って診療に当たるグループ・プラクティスについて説明し,各専門医間のコミュニケーションの重要さと症例や症状によって各専門医がリーダシップを取って診療に当たることの大切さを強調.また,補綴治療においては “”Harmony with Biology” (生体と調和された補綴) を目指すと話した.補綴の材料に関しては,ジルコニアをベースとしたクラウンについて,「対合歯にとって負担になるので,しっかりと研磨をする」,などの注意を促した.

 最後のプレゼンターはMr. Masahiro Kuwata(桑田正博)氏(ボストン大学歯学部客員教授)で, “Past, Present and Future of  Prosthodontics”(修復治療の変遷,そしてこれからの歯科を考える)のテーマで登壇.桑田氏自身が渡米し金属焼付ポーセレン(PFM)発明と世界各地への普及の経緯,近年の研究成果であるスリー・プレーン・コンセプトによる支台歯形成の客観的基準の作成,今後も口腔内の治療についての研究を繰り広げていく,と力強く話した.

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Dr. Yamamoto
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Mr. Kuwata

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最後にはプレゼンター全員が登壇し,盛大な拍手が送られた

 

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