2月22日(土),エッサム神田ホール(東京都千代田区)にて標記講演会が開催された.だいさん会とは,日常の臨床技工で生じる問題の解消や歯科技工技術の向上などを目的に活動する歯科技工士のスタディグループであり,毎月の例会のほかに外部から講師を招いた不定期の特別講演会を開催している.
今回は特別講師として枝川智之氏(千葉県流山市/パシャデンタルラボラトリー)が登壇して「審美・効率・コミュニケーションの考察~補綴物製作の各工程において守るべきポイント~」と題した講演を行い,歯科技工士約60名が聴講した.

枝川氏は冒頭で審美的な補綴物を製作するための諸要件を解説.若かりし頃の氏の取り組み方法を紹介する一方で,「臨床技工の現場では,自分が磨いた技術を表現することが良好な結果につながるとは限りません」として,患者の要望を汲まない過剰な表現は補綴物の再製につながる因子であることを語った.また,色調表現におけるシェード画像の重要性についても述べ,画像中央以外のエリアでは明度が低下していることが多い,歯の周囲の明度や彩度によって色調の錯視が起こりやすい,といった事項を,画像処理ソフトにより比較しながら説明するとともに,前述の錯視を逆に応用したトランスルーセントの透明感の表現方法を供覧した.そのほか,使用材料の光の透過性や屈折率の違いを踏まえた築盛,研磨のポイントなども紹介された.
技工作業の要点を語るなかで,氏は患者やチェアサイドの要望を把握したり,今行っている作業の先を予測して行動したりすることで,仕事の効率化が図れると指摘.患者の主訴や顔貌全体の写真など,ラボサイドに提供してほしい情報をあらかじめ歯科医院に伝えておくことの重要性や,次の日の作業の流れをあらかじめシミュレーションするという自身が行っている取り組みを解説した.
※本講演会の詳細については月刊『歯科技工』後続号の参加レポート記事にて報告する予定です.