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第1回JUC発表会が開催される

 12月8日(日),電気ビル共創館(福岡市)にて標記発表会が「前へすすむインプラント治療~その到達点と合併症の予防~」をテーマに開催され,530名が参集した.
 JUC(Japan United Colleagues,会長:水上哲也氏・福岡県開業)は2012年4月に発足したスタディグループで,知識と技術の向上を目指し,お互いが尊重し合いながら研鑽し「利他の心」をもつことを基本としている.
 冒頭の水上氏の挨拶では,「インプラントが臨床応用されてから半世紀が過ぎた現在を反省期として捉え,これから一人ひとりの臨床家が何を考え,行っていくかが重要である」とし,昨今のインプラント治療へのネガティブ報道を受け,歯科界がこれから前に向かっていくために,本テーマを設定したと述べた.

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 午前の講演では,まず林美穂氏(福岡県開業)が「整理整頓!審美インプラント治療」をテーマに登壇.林氏は,口腔における審美として,審美インプラント治療を成功に導くための事項を単独歯欠損,多数歯欠損症例を基に解説した後,生体における審美としてインプラントがしっかりと機能することで患者の人生も救えることを症例を通じて解説した.続いて,村岡卓也氏(福岡県開業)が「インプラント治療における骨造成の変遷と当院の取り組み」と題して講演.村岡氏は,GBR法の変遷を示した後,吸収性・非吸収性メンブレンの特性,ソケットプリザべーションの利点・欠点を症例とともに解説した.馬場正英氏(福岡県開業)は「安全性の向上と適応症の拡大を目的としたPiezoelectricdevice」をテーマに,歯根端切除術やサイナスフロアエレベーションといったさまざまな術式におけるピエゾの有用性を紹介した.午前の最後となる講演では金成雅彦氏(山口県開業)が「総合治療におけるインプラントと矯正の治療戦略~タイミングと治療意義~」をテーマに登壇.金成氏は,固定源としてのインプラント,ミニスクリューなどのTADの利点・欠点,適応症を示した後,実際にどのように考えていくかを症例を基に解説した.

 午後の講演は,池上龍朗氏(福岡県開業)のインプラント周囲炎に対する詳細な文献レビューを受ける形で展開された.池上氏は文献レビューを基に,インプラント周囲炎のリスク因子を細菌的要因,全身的要因,インプラントに関する要因,設計/力学的な要因の4つに分類し,各症例の臨床像からその解説を行った.それを受け,平井友成氏(福岡県開業)は歯周病患者におけるインプラント治療のポイントを,木山洋氏(福岡県開業)は清掃性を考慮したインプラントオーバーデンチャーの特性を,吉松繁人氏(福岡県開業)は各インプラントシステムやデザインによる違いを,土肥博幸氏(長崎県開業)はGBR法のおける合併症やインプラント埋入との同時法と段階法の考え方を解説した.


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 最後の総括講演では,水上氏が「予防的視点からのインプラント周囲炎対策」をテーマに登壇.水上氏は,午後の講演内容へのいっそう理解を深めるべく,インプラント周囲炎に対する文献的考察を述べるとともに,インプラントのメインテナンス法から周囲炎になった場合の対応を症例を通じて解説した.また周囲炎への対策としては,メインテナンスシステムの構築,早期対応,基本的な治療技術の充実が重要であると述べた.講演の最後には,「現在の臨床においてインプラント治療は欠かせないものであり,その多くが成功して患者のQOLに貢献している」とし,臨床家の医療人としての姿勢と同時に,歯科界から情報をしっかりと発信していくことの大切さを強調した.
 会場には立ち見をするほど聴衆がつめかけ,JUCへの関心の高さがうかがえるとともに,それに応えた講演内容であり,発表会は盛況りに閉会した.

 

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