6月30日(日),東京医科歯科大学歯学部附属病院 歯学部特別講堂(東京都千代田区)において標記講演会が開催された.
主催のMCS陶友会とは,三善由高氏が主催するセラミックス技術研鑽のための卒後教育機関であるマスターセラミストスクール(東京都文京区)の卒業生や三善氏の門下生によって構成され,同校の開校10周年となる2011年に会の刷新を図るとともに講演会を定期的に主催するなど活発な活動を行っている.
「審美と機能の今。」をテーマにした今回は演者に高橋 健氏(川崎市高津区/Dental Laboratory Smile Exchange)と枝川智之氏(千葉県流山市/パシャデンタルラボラトリー)を迎え,歯科技工士養成校の在学生を含む約120名が参加した.
「Esthetic Approach in Clinical Dentistry」と題して講演を行った高橋氏は,9年間の院内ラボ勤務を踏まえた臨床技工の勘所とラボサイドからも歯科チーム医療に積極的に参画することの重要性を紹介.失敗症例を経験する中で「原因を探るうちに,診査・診断とプロビジョナルレストレーションにおける問題点のすくい上げが鍵になることに気付いた」として,歯科技工士にも治療全体を見据えた治療への参加,歯科医師や歯科衛生士への提案が求められると訴え,その考えによって実践した症例を供覧した.(後略)
「審美補綴に深みを与えるための光のコントロールと審美インプラント治療の流れ」との演題で登壇した枝川氏は,自身の再製の原因の多くが不適切な明度(=光)のコントロールにあったとして,そのマッチングを図るための考え方と手法を解説した.特にオールセラミックス症例において唇側のクリアランスが少ない,あるいは下地の色が強いケースにおいては,「光の吸収と反射」の作用を考慮したフレームと築盛陶材の厚みを設定することで明度コントロールを図ることができると指摘した.(後略)

※本講演の詳細については,月刊『歯科技工』8月号のRecord記事および後続号の参加レポート記事にて報告します.