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第56回春季日本歯周病学会学術大会開催される

5月31日(金),6月1日(土),タワーホール船堀(東京都江戸川区)にて,第56回春季日本歯周病学会学術大会が,3,000名を越える参加者を集め開催された(大会長:山本松男氏/昭和大).

特別講演1「口腔衛生学と歯周病学の融合:歯根膜細胞とバイオフィルムのクロストーク」では,花田信弘氏(鶴見大)が登壇.口腔細菌の全体像が把握されつつあるなかでの,歯周病原細菌の巧みな生態系と歯根膜細胞との駆け引きをわかりやすく解説.また,歯周組織と細菌とが日常的に接触している歯周組織環境の特殊性を紹介し,歯科治療においては今後,菌血症防止という側面が重要になることを強調された.

シンポジウム1「歯肉上皮の機能を考える」では,天然歯周囲組織,とりわけ接合上皮のメカニズムに関する最新の研究成果をもとに,歯周病治療のあるべき姿についてディスカッションが展開された.
まず最初に登壇した谷口威夫氏(長野県開業)は,「歯肉上皮の回復能力を再認識する」とのテーマで講演.歯周病臨床上で起こる接合上皮をめぐる臨床実感を長期症例を元に提示.そのメカニズムの解明に向けた問題提起を行った.
山本剛氏(昭和大)は,「分子レベルで見た接合上皮の特異性」をテーマに,接合上皮の発生過程に関する研究成果等より,接合上皮が固有の免疫機構をもつ可能性について言及.
藤田剛氏(広島大)は,「歯肉上皮細胞に着目した歯周炎発症のメカニズム」と題し,宿主機能制御による歯周病予防の可能性について,接合上皮細胞間接着に着目した研究成果から解説した.
橋本貞充氏(東歯大)は,「歯肉の微細構造・機能・再生を見つめ直す」のテーマで講演.付着上皮は強固な接着機構を有すること,また付着上皮は常に動いて代謝を行っているとの知見とともに,上皮性付着の結合組織性付着への置換の可能性についてまで言及した.
ディスカッションも白熱し,歯周病治療のゴールとは何か? 何をもって治癒とするのか? 等々,尽きない議論が展開された.

特別講演2「Epidemiology, diagnosis and treatment of peri-implantitis」では,インプラント周囲炎の実態を長期に見つめてこられた,Stefan Renvert氏(Kristianstad大,スウェーデン)が登壇.疫学的背景から,あるべき診断の姿,治療法の実際まで,最新のトレンドを含め解説された.

シンポジウム2「歯周病を通してインプラント周囲炎をとらえる」では,シンポジウム1の内容を受ける形で,インプラント周囲組織へと話題を展開.
熱田生氏(九大)は,「インプラント周囲の上皮封鎖性にしくみについて」と題し,天然歯周囲に比べインプラント周囲の封鎖性が低いと考えられる要因について,さまざまな観点より検証.
竹内康雄氏(東医歯大)は,「インプラント周囲の細菌叢-わかっていること・いないこと-」をテーマに,インプラント周囲に特徴的な細菌叢についての検索に,近年の細菌学領域における研究トレンドを交え,今後の研究の進展の方向性について示唆された.
宗像源博氏(東医歯大)は,「日本におけるインプラント周囲炎の現状と問題点」と題し,インプラント周囲炎発症率についての知見を紹介.発症率に大きなばらつきがあるのは,組織検査方法,画像診断の限界,インプラントシステムによる形状・性状の違いなど,インプラント周囲組織の評価法が確立されていない影響を強調された.
松井孝道氏(宮崎県開業)は,「インプラント周囲炎の治療における除染法を考察する」とのテーマにて,臨床現場において展開されているさまざまな除染法の効果と限界について,文献的な背景も含め紹介した.

その他,一般講演39題,歯科衛生士口演7題,ポスター156題等,2日間にわたり充実のプログラムが展開された.
「Gingival Marginを見つめなおす」とのメインテーマが示すとおり,質の高い歯周病治療,インプラント治療を目指すために,今一度「上皮」を捉え直そうとのメッセージを実感する2日間であった.


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特別講演1より

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シンポジウム1,2より


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