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第51回 日本小児歯科学会学術大会開催される

 5月23日(木),24日(金),長良川国際会議場(岐阜市)にて,標記学会・総会が「新たな出発 ~次の半世紀に向けての小児歯科医療を考える~」をテーマに開催され,2日間で約1,500名の参加を集めた.
(大会長:田村康夫氏/朝日大学歯学部口腔構造機能発育学講座小児歯科学分野教授)

 大会初日のリレー講演は,「周産期医療の最前線と小児歯科の役割」をテーマに,「スペシャルニーズを要する乳幼児の口腔機能ハビリテーション支援」(朝日大学歯学部小児歯科学教授/田村康夫氏)」,「胎児医療の現状,そして未来への展望」(国立病院機構長良医療センター周産期診療部長/川鰭市郎氏),「新生児医療の進歩と小児歯科領域との関わり」(岐阜県総合医療センター主任部長兼新生児医療センター長/河野芳功氏),「藤田保健衛生大学病院・唇顎口蓋裂センターでの集学的治療-新生児期から幼児期の口腔機能の発達に小児歯科医は何ができるか-」(藤田保健衛生大学病院・口唇口蓋裂センターほか/今村 基尊氏)」の4講演が行われた.周産期医療~新生児期医療の実際が紹介されるとともに,歯科が小児医療にいかに関わっていくかについて,各ステージごとに総合的に解説された.
 特別講演I(公開講座)では,京都大学霊長類研究所教授・松沢哲郎氏が登壇.「想像するちから:チンパンジーが教えてくれた人間の心」と題して,チンパンジーとの比較研究からみえる,人間の本性,親子関係,発達過程における行動の意味を解説.ヒトをヒトたらしめる行為として,(1)あおむけ(姿勢の成立),(2)(社会上の)「おばあさん」の存在,(3) 教育,(4)言語 があるとし,それぞれに解説が加えられた.

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企業展示ブースの様子

 大会二日目の歯科衛生士テーブルセミナーでは,「こどもの口の予防管理」をテーマに,開業歯科医院勤務の若松美咲氏(みやかわ小児矯正歯科),大学病院勤務の中嶋恵美子氏(朝日大学歯学部附属病院小児歯科)が登壇.
 若松氏は,自身が勤務する小児歯科医院で実践している指導ツール(魔法使いルタンをモチーフとした子ども向けストーリー)を紹介し,子どもたちを視覚,聴覚,感覚優位とタイプ別にアプローチすることで,来院時にただ楽しませるだけでなく,口腔の健康について正しく理解する仕組みづくりのための試行錯誤を解説した.
 中嶋氏は朝日大学付属病院小児歯科の患者統計を紹介,3カ月ごとの定期検診(歯科衛生士管理コース)をはじめとし,予防業務,診療補助業務,教育機関としての臨床実習生指導など,歯科衛生士業務の実際を紹介した.
 
 続いて,「認定歯科衛生士必須研修セミナー」が行われ,学会認定歯科衛生士(現在96名)および認定歯科衛生士取得を検討している歯科衛生士等が参加.「もう一度考えよう,小児のBehavior control」をメインテーマに,「行動変容法とトレーニング」(九州看護福祉大学口腔保健学科専任講師/筒井 睦氏),「絶対泣かせないぞ!私の診療室での取り組み」(ハート小児歯科・前田千夏氏),「子どものBehavior managementの先にある支援マインド」(UTAKA DENTAL OFFICE佐々木歯科/佐々木 洋氏)の3講演が行われた.
 筒井氏は教育現場に携わる立場から,小児歯科臨床における歯科衛生士の役割および歯科治療不適応患児への行動変容法等を中心に解説.行動変容法を実施するにあたっては,子ども一人ひとりの心身両面の発達段階をみてアプローチすることが重要であると警鐘を鳴らした.
 前田氏は,自身が勤務する小児歯科医院で取り組んでいる「泣かせない小児歯科」実現のための実際例を動画を交えて解説.治療中の子どもの目線,手足の指先の動き,表情変化の有無,母児分離の考え方など,歯科衛生士として,いかにスムーズに歯科医師の治療へと橋渡しするかについてまとめた.
 佐々木氏は,昨年の講演内容の続編という形で登壇.子どもが主体的にセルフケアマインドを身につけるためには,医療職が「behavior を control する」という志向をもってアプローチするのではなく,「つらい」「痛い」「怖い」も含め,外来で経験するさまざまな経験を通して,医療職も共に共感し合うことで,親子に陽性の行動変容を促すことができるのではないかと解説した.

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 左から演者の筒井氏,佐々木氏,前田氏

 そのほか,女性小児歯科医委員会企画として,シンポジウム「子どもの心」が行われ,臨床発達心理士である村中由紀子氏(就実大学教育学部教育心理学科教授),荻野美佐子氏(上智大学総合人間科学部心理学科教授),幼児教育・保育学が専門の岡本雅子氏(関西福祉科学大学社会福祉学部社会福祉学科准教授)が登壇.現代の働く女性の子育て事情をふまえ,女性歯科医師として現場の第一線で活躍しつつ子育てする学会員へのエールやアドバイスを送った.

 次回大会は,2014年5月16日(金),17日(土),品川区総合区民会館・きゅりあんにて開催予定である(大会長:井上美津子氏/昭和大学歯学部小児成育歯科学教室).

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