2月3日(日),大阪国際会議場(グランキューブ大阪/大阪市北区)にて,第1回SHOFU DH Skill up Partyが開催され,近畿地方を中心に,全国から約350名の歯科衛生士,歯科医師が参加した.

会場内の様子
午前の部では,「見える美しさ & 感じる美しさ ~歯科からの提案」と題して土屋和子氏((株)スマイル・ケア代表/歯科衛生士)が登壇.歯列や歯肉,口唇等のバランスをふまえた歯科領域における「美」について,自身が関わる植松歯科医院や土屋歯科クリニック&worksでの症例をもとに解説.補綴物がどのように生体・歯周組織に受け入れられていくか,またそれぞれの場面における歯科衛生士の役割について解説し,さらに医療現場における「心」の美(医療人としての意識のあり方)等を紹介した.

土屋和子氏
午後の部には,波多野映子氏(ウチヤマ歯科医院勤務/歯科衛生士)と山本浩正氏(山本歯科医院院長/歯科医師)が登壇した.
まず波多野氏は,「メインテナンスを継続させるために」をテーマに,患者パターンによる対処例を紹介.口腔へのさまざまな価値観をもつ患者に対し,歯周治療やメインテナンスの大切さをどのように伝えるか,医療職と患者間の擦れ違いがいかにして生じるか等の具体例を解説した.歯周治療の最大のリスクは何よりも“患者が来院しなくなること(来院中断)”であると強調し,PMTCの三原則(傷つけない・痛くしない・急がない)や,避けて通れない“歯の看取り”など,長期メインテナンスを見据えた包括的なアプローチについて解説した.

波多野映子氏
山本氏は,「メンテ重視の“DO的”治療」と題し登壇.“患者はどのような歯科医院なら来院しなくなるか”を紹介していきながら“歯科医院のあるべき姿”を提唱するという,逆説の手法による解説を行った.メインテナンスに患者が通い続けるためには,SRP等の手技で確実な効果をあげること,患者情報を適切に記録し医療者側が経過を把握していることを伝えること,その時々に応じた指導を行い共感すること,痛みを与えないこと等であることを紹介した.そのうえで,現在は各歯科衛生士が長期症例をもつ時代であることを強調し,学び続けること,辞めないことの大切さについて場内にメッセージを送った.

山本浩正氏
すべての講演の終了後には,山本氏と波多野氏が再度登壇し,事前に参加者から募った臨床場面のクエスチョンについて,ディスカッションを行った.
「効率の良いPMTCとは」「補綴物だらけの口腔内のポリッシングは」「歯石探知を正確に行うために」「患者のモチベーションを維持するために」など,参加者が日常臨床でぶつかる等身大の疑問や質問が提示され,丁寧なアドバイスが加えられた.
そのほか,会場を移した別ブースでは,福岡かつよ氏(ラ・ポール(株)代表)による「現場に活かす接遇 ~第一印象がコミュニケーションに繋がる~」が行われた.接遇には“客観的な視点”が必要だとし,印象をよくし,次につながるコミュニケーションの秘訣はなにかについて,参加者によるワークが行われた.
また体験セミナーとしては,「PMTC(講師:波多野映子氏)」「口腔内写真撮影(講師:谷村妙子氏/山本歯科医院勤務・歯科衛生士)」「バキュームテクニック(講師:宮本さくら氏/山本歯科医院勤務・歯科衛生士)」「歯面コーティング(講師:(株)松風・歯科衛生士)」がそれぞれ4クール行われ,会場内は終日熱気に包まれた.