12月15日(土),16日(日)の2日間,ベルサール飯田橋ファースト(東京都文京区)において,日本包括歯科臨床学会設立記念総会が,500名の参加者のもと開催された(大会長:倉田豊氏/埼玉県開業).
同学会は,故筒井昌秀氏,筒井照子氏(福岡県開業)が長らく主催してきた筒井塾の臨床コンセプトを継承する2つの研究会(JACD,咬合療法研究会)がそれぞれ設立20周年,10周年を迎える節目に統合し設立されたものである.
初日はプログラムに先立ち,同学会の役員が紹介され,名誉顧問として故筒井昌秀氏,顧問に筒井照子氏,会長に上田秀朗氏(福岡県開業),副会長に樋口琢善氏(福岡県開業),国賀就一郎氏(兵庫県開業)の就任が発表された.また,故筒井氏と親交の深かったMorton Amsterdam氏(ペンシルバニア大学歯学部名誉教授)の祝賀メッセージを込めたビデオレターも紹介された.
プログラムは,筒井照子氏,塩塚尚子氏(筒井歯科医院勤務),および内山茂氏(埼玉県開業)による講演とシンポジウムから始まり,口腔内に加わる好ましくない力をどう読み,どのようにしてコントロールするかが語られた.
また,会員発表では,藤田幸彦氏(京都府開業),藤原康則氏(京都府開業),田中憲一氏(福岡県開業),樋口琢善氏,藤田亨氏(大阪府開業),中島稔博氏(福岡県開業)の気鋭の若手6名が登壇.同学会のコンセプトである包括歯科臨床を,咬合再構成を要する臨床例のなかでどのように具現化しているかの報告が展開された.
2日目のプログラムは,会員発表,基調講演とシンポジウム,および歯科技工士分科会・会員講演で構成され,会員講演では,西林滋氏(群馬県開業),木下俊克氏(福岡県開業),白石和仁氏(福岡県開業),榊恭範氏(福岡県開業),国賀就一郎氏,大村祐進氏(福岡県開業)らのベテランが,それぞれの臨床における取り組みを紹介した.
午後の筒井照子氏による基調講演では,「歯科医療の基本は口腔の恒常性の振れ幅の中に収まっているかを見守ること」であるとし,口腔の崩壊の原因を見極めるStomatologyと,壊れた口腔を元の形に戻すDentistryの両輪が重要であることを強調した.その後のシンポジウムでは,故筒井昌秀氏の手がけた3症例とその後の経過が提示され,筒井祐介氏(福岡県),増田長次郎氏(兵庫県開業),上田秀朗氏,筒井照子氏が,その臨床のポイントについて解説した.
今後も,年1回の学会を継続して開催していくとのこと.故筒井昌秀氏と筒井照子氏の撒いた種が大きく花開く学会に成長することを期待したい.

基調講演:筒井照子氏

シンポジウムより