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「日本歯科技工学会 第33回学術大会」開催

 10月1日(土),2日(日)の両日,タワーホール船堀(東京都江戸川区)にて,標記学術大会が開催された(大会長:三浦宏之氏;東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科口腔機能再構築学系専攻摂食機能保存学分野).「歯科技工の役割―咀嚼・嚥下機能の回復を果たすために―」をメインテーマに据えた今回は,特別講演・基調講演・企画セミナー(各1題),テーブルクリニック・デモンストレーション(34題),ポスター発表(85題)において,「咬合」「義歯」「セラミックス」「インプラント」など歯科技工学を網羅する幅広い内容の講演・発表が行われたほか,例年に引き続き歯科技工士養成校の学生を対象にした歯型彫刻のテクニカルコンテストや54社による企業展示が行われた.

 基調講演「長寿高齢社会の咬合,咀嚼を支える歯科技工」では三浦宏之氏が,第一大臼歯欠損症例を例に歯の欠損が口腔内に与える影響をスライドを通じて示し,「対合歯の挺出」や「咬合バランスの悪化」から最終的には咬頭嵌合位が崩壊したり顎関節症を併発したりする場合もあることから,歯科技工士の作る補綴物がいかに重要かを強調した.次に,間接法によって製作されたクラウンが必ず高位となるになることについて,3種類のトレー(既製トレー,個人トレー,咬合印象用トレー)を用いてそれぞれ印象採得を行い,口腔内との誤差を計測する実験を示し,によってその原因が模型製作前の印象採得にあることを証明した.

 特別講演では「―Bianco e Rosso― 機能(咬合・咀嚼)と審美を達成するプロセスとデザイン」と題して山本尚吾氏(東京都新宿区/art & experience B e R)が登壇.山本氏は冒頭,補綴治療の鍵として,①審美性,②機能性,③長期予後の3つを列挙し,歯科技工士はそのそれぞれを両立するために努力しなければならないと語った.続いてAxel Kirsch氏(ドイツ・バーデンヴュルテンベルグ州/Dr. med. dent. Axel Kirsch Zahnarzt)からセラミックスクラウン製作の依頼がきた際に考案した審美的な形態・排列に関するコンセプトである「CPC」(Continuous Paraller Concept)と「CTC」(Continuous Trapezoid Concept)について山本氏は臨床例を通じて解説し,前者について「前歯部の近心ラインでは同方向の隣在する近心ラインが概ねパラレル(平行)に存在し,同様に遠心ラインもパラレルに存在する」という自身の考え方に基づいて歯冠の排列や形態付与を行うものと説明した.後者については「前歯部中切歯から臼歯部まで交互によじれや重なりを与えることでより審美的に優れた補綴物製作が可能になるという考え方」であると述べ,両者とも下部鼓形空隙部分に一定の規則性を与えることができることから口腔内に自浄性を持たせることができるとした.

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 次回の学術大会は2012年9月15日(土),16日(日)に,岡山コンベンションセンター(岡山市北区)において開催される予定である.
 ※本学会については,月刊『歯科技工』11月号誌上の速報記事にて詳報します.

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