6月22日(水),コンファレンススクエア エムプラス(東京都千代田区)にて,標記会が開催された.
本会は,私立歯科大学・歯学部によって構成される日本私立歯科大学協会が,「歯科医学・歯科医療から国民生活を考える」として,これからの歯科の重要性についてマスメディアなどを対象とする講演を行い,情報を広く国民に伝えようとする取り組みである.
最初に本協会副会長・専務理事の安井利一学長(明海大)より,日本の歯科医学における私立大学の果たした内容,本協会の活動,これからの歯科医学の重要性などの説明が行われた.

講演1「くらしを守る,いのちを守る口腔機能」では,菊谷 武教授(日歯大)が高齢者の残存歯数増加による「多歯時代」において,誤嚥性肺炎や不慮の事故としての窒息の増加の問題を指摘,運動障害性咀嚼障害で起こる咀嚼・嚥下障害の現状と検査や訓練などの対策を述べた.また,日本歯科大学が来年秋に開院予定である口腔リハビリテーションに特化した多摩クリニックの紹介を行った.

講演2「歯科医師は口腔がんのキーパーソン」では,新谷 悟教授(昭和大)が外部から見ることができる口腔がんは,大学で十分な教育を受けている歯科医によって早期発見が可能であることを述べた.しかしながら,いまだ情報が国民に周知されていないこともあって死亡者数が増えている疾患であり,さらなる周知徹底の必要性を訴えた.さらに,がん治療後の顎骨の再建や,新たな診断方法が開発されてきていることを紹介した.

最後に本協会の会長である中原 泉学長(日歯大)が,身近な経験で実感した誤嚥性肺炎の話などをもとに,国民の健康な生活における歯科の重要性を述べて本会をしめくくった.

昨年10月に開催された第1回セミナーに続き,満員の会場から活発な質疑が行われ,一般メディアにおける関心の高さがうかがわれた.今後もこのような取り組みが期待される.