2011年2月13日(日),都市センターホテル コスモスホール(東京都千代田区)にて,標記講演会が500名あまりの歯科医師,歯科衛生士等を集めて開催された.講演は,午前・午後の2部構成となっており,午前中は,歯周治療における“キュア(動的治療)”の視点から,午後は“ケア(メインテナンス・SPT)”の視点からそれぞれ発表がなされた.


午前中の講演では,「キュアラーはケアラー ~キュアを志す人はケアを志す人である~」と題して,山本浩正氏(大阪府開業)が登壇.歯周治療における“キュア”と“ケア”は対立的には捉えられないものと前置きをしたうえで,主に歯周外科治療の術式とその後の治癒形態についてを詳説.“歯科衛生士は歯周組織の治癒後のPhenotype(表現型:肉眼で見える性質)を理解したうえでケアを行っていくべき”と述べ,動的治療終了後のケアにおける勘所・注意点について解説を加えた.

続く午後からの内山 茂氏(埼玉県開業)の講演「ケアに強くなって歯周治療の可能性を拡げよう」では,動的治療終了後のSPT・メインテナンスは「炎症のコントロール」と「力のコントロール」の2本柱で成り立つことに言及.「炎症のコントロール」としては,PMTCや歯肉縁下デブライドメント等の考え方と使用器具,テクニックの実際を豊富な臨床写真を用いて説明.「力のコントロール」においては,酸蝕,咬耗,摩耗,アブフラクションなどのいわゆる“トゥースウェア”や歯根破折から歯を守る方策として,自院での患者指導や対応の実際,メインテナンス時の着目点を供覧した.

また,講演終了後のディスカッションでは,「担当歯科衛生士性のメリットは?」「ケアと経営の両立をどう考えるか?」「メインテナンス継続の秘訣は?」など,事前に参加者から募った質問に山本・内山両氏がそれぞれの視点から答え,会場の参加者も巻き込んだ双方向的な講演会となった.
同講演会は,3月27日(日),大阪でも開催予定.