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2010 SHOFU CERAMICS CONGRESS in Osaka開催される

 11月28日(日),ブリーゼプラザ(大阪市北区)にて標記講演会が開催され,三善由高氏(東京都文京区/マスターセラミストスクール)をチェアマンに,山本 眞氏(大阪市中央区/山本セラミスト)と西村好美氏(大阪府茨木市/デンタル・クリエーション・アート)が講演を行い,約300名が参加した(主催:株式会社松風).

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 まず,山本氏が「セラミックスマテリアルの考察~過去から現在,そして未来~」をテーマに登壇した.冒頭,歯科用陶材とそのシステムの変遷を解説しながら,オールセラミックスが隆盛期を迎えた現在もメタルセラミックスの市場は確固として存在し,今後は各社のCAD/CAMシステムがコバルトクロム合金を中心としたメタルセラミックス用フレームワークの製作にも対応する予定であるといった展望を示した.
 続いて,自身が開発に携わった金属焼付用陶材『ヴィンテージMP』(松風)の特長として「焼成収縮下におけるベース材との高い親和性」「幅広い熱膨張係数の陶材焼付用金属に対応」「オペーク陶材の操作性向上」「色調再現性の改善」の4点を挙げ,「ベーストオペークはできる限り薄く,フラットに近い感覚で塗布する」などの具体的な手技を交えて詳説した.
 後半は,臨床現場で多くの歯科技工士を悩ますジルコニアと陶材の剥離やクラックについて,多角的な実験の成果を供覧.素材単体としては非常に高い強度を誇るジルコニアも,陶材を焼き付けた複合体としての強度はアルミナやコバルトクロム合金に劣るという結果に山本氏は「素材の強度を盲信してはいけない」と参加者に注意を促した.
 西村氏は「審美歯科におけるセラミックスワーク」と題して,歯冠形態を構築する際のテクニックなどを紹介した.対象となる歯牙・歯列のみならず歯肉とのバランスを考えることを第一義に考え,表面の隆線やテクスチャの付与はあくまで細部を詰めるものとして優先順位を明確にすべきであると強調したほか,歯列全体の調和には特に犬歯が重要になるとして,基本的には内側へ向けることで理想的なスマイルラインが得られると述べた.ただ,上記のような形態を拒む患者も見られるため,プロビジョナルレストレーションにおいて必ず患者の意思を確認するなど,個々のケースを重視することの必要性も説いた.
 幅広い実験結果に基づいてジルコニアの“実体”を浮かび上がらせた山本氏の講演および,セラミックスレストレーションにおける具体的な注意点や歯冠形態構築における要点を披露した西村氏の講演の最中は,ベテラン,若手問わず多くの参加者が熱心にメモをとっており,少しでもその知見を得ようとする姿が印象的であった.

 

※本講演会の詳細は月刊『歯科技工』にて掲載いたします.

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