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第16回 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会学術大会開催される

 9月3日(金),4日(土),標記学術大会が,「理念に基づく摂食・嚥下リハビリテーションの構築に向けて」をテーマに開催された.医科・歯科・介護福祉職など,5,000人強の関係多職種が集まり,650を超える演題が発表された.

 植田耕一郎氏(日本大学歯学部摂食機能療法学講座・教授)による会長講演では,摂食・嚥下リハビリテーションにおいては,数値やエビデンスなどでは示せない要素があり,手技に惑わされることなく多様化する患者病態に臨機応変に対応することが必要であること,おおいに悩みながらもぶれることのない「理念」をもってアプローチすること(IBM; idea based medicine)の大切さが伝えられた.
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会長講演の様子

 「シンポジウム1 摂食・嚥下リハビリテーションの新しい臨床を開く基礎研究」では,4人の演者が登壇した.加賀谷 斉氏(藤田保健衛生大学)は,「命令嚥下」「咀嚼嚥下」「咽頭嚥下」「連続嚥下」という4つの摂食・嚥下様式ごとに摂食・嚥下過程の捉え方を概説.このうち,「咽頭嚥下」においては,誤嚥防止機構ではないかと注視される孤発的咽頭嚥下(isolated pharyngeal swallow;IPS)を中心に据えた2期モデルについて解説し,食塊が下咽頭になくても生じるなどの特徴を述べた.井上 誠氏(新潟大学大学院)は,これまで研究例が非常に少なかったヒトの咽頭刺激と嚥下反射の相関,随意嚥下の変調効果について検証し,咽頭への電気刺激により随意嚥下の促通効果は認められるが,咀嚼時においては嚥下反射惹起が安静時より抑制されていることが示唆されたと述べた.井出吉信氏(東京歯科大学)は,顎骨の形態変化と,食塊を食道に送る役割を担っている咽頭収縮筋の解剖学的特徴を概説.上咽頭収縮筋は,解剖学的特性から食物を食道へと送る嚥下運動のみならず咀嚼にも大きく関与していることが明らかであると結んだ.田村宗明氏(日本大学歯学部細菌学教室)は,高齢者の口腔衛生状態維持・向上の必要性から,短時間でより効率的な効果を発現する口腔ケアのために開発された保湿用ジェルに特殊加工カテキンを添加し,抗菌活性,作用機序の解明と,臨床応用の可能性について検討.カテキンジェルは口腔常在菌叢に影響をあまり与えることなく,有効な抗菌活性が期待できるため,長期臨床応用が期待できると言及した.
 「交流集会3 歯科衛生士」(座長:日山邦枝氏)は,「専門的口腔ケアに何を求めるか」をテーマに開催された.病院勤務の角田由美氏(日本大学歯学部附属歯科病院歯科衛生室)は,「専門的口腔ケア」は急性期・回復期・維持期のそれぞれのステージで,器質的要素・機能的要素のどちらに比重が置かれるかが異なることを言及しながら,対医療職・対介護者別の連絡・支援方法について解説した.行政に勤務する宮下順子氏(八王子市保健所)は,ケアの現場には依然として,“歯科衛生士は口の掃除をする職種”という前時代的ななごりが残っていると訴え,歯科衛生士が積極的にサポートチームに入り,参画できるシステム構築を進めることが急務であり,まずは現場に出向くことから始めるべきと訴えた.診療所勤務の小林美佳氏・仲村麻衣子氏(武内歯科医院)は,卒後間もなくより特別養護老人施設へ赴き口腔ケアを行っている経験から,多くのつまづきの原因が歯科衛生士の口腔ケアや全身状態への知識不足,患者さんとのコミュニケーション能力の不足,院内業務との両立の難しさにあるとしたうえで,歯科衛生士養成校の臨地実習施設として,歯科衛生士の活躍の場は診療所以外にも数多くあることを今後も伝えていきたいとまとめた.

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歯科衛生士交流集会の演者一同

 なお,総会では,現在同学会会員数が7,434名であること,第1回目の摂食・嚥下認定士の試験が12月の第一日曜に名古屋国際会議場で開催されること,嚥下食の学会呼称が「嚥下調整食」となることなどが報告された.

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会場内で学会参加者を案内していた
新潟県観光大使で,元・歯科衛生士の松木さん

 次回大会は,2011年9月2日(金),3日(土),仙台国際センターほかで開催される予定である(大会長:出水紳一氏/当方区大学大学院医工学研究科リハビリテーション医工学分野)

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