7月17日(土),新東京歯科技工士学校(東京都品川区)にて相羽直樹氏(アメリカ・カリフォルニア州/Science Art)を講師に招いた標記実習会が10名の参加者を得て開催された(主催:有限会社ファクト).

本実習では,支台歯形成を行わずに装着できることからMinimal Intervention(最小限の侵襲)のコンセプトに合致する「Non-Prep Veneer」の製作をテーマに,白金箔〔Platinum Foil(dead soft);Ivoclar Vivadent,国内未販売〕を用いたポーセレンラミネートベニア(PLV)の製作法が相羽氏のレクチャーとデモンストレーションを軸にして紹介された.
本法ではわずか0.02mmの箔を支台模型に圧接し,折り目の部分をゴールドボンディングエージェントで蠟付けしてその上に陶材築盛を行うために,術者が操作に慣れるまでは非常にテクニックセンシティブな作業となる.そのため,相羽氏はソフトティッシュモデル製作,白金箔の圧接,陶材築盛の各ステップごとに「模型のチッピングを防ぐために竹の棒で圧接し,皺の部分はダイヤモンドディスクや先端を細く削ったセラミックポイントで,低速で慎重に削っていく」「基本的に支台の色を拾うので内部色調の特徴などはシビアに表現する必要はないが,内部ステインによる個性付与も可能」などと細やかな解説を随所で挟みながらレクチャーを行った.そのほか,白金箔は高価であるので圧接の練習にはアルミ箔を用いてもよいといったアドバイスや,箔に穴を開けてしまった際のリカバリー処置についても実演した.

相羽氏がデモで製作したNon-Prep Veneerは,思わず触れることに二の足を踏むほど極薄でありながら,サンプルの天然歯の色調への見事な調和を見せており,参加者は本法の有効性と相羽氏の卓越した技術に嘆息を漏らしていた.

▲相羽氏がデモで使用した天然歯サンプル

▲同,製作したNon-Prep Veneer

▲同,装着.臨床ケースでは,ボンディング後に歯科医師によるマージンの研磨が行われる
※本講演会のrecord記事を月刊『歯科技工』9月号誌上にて掲載します.