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「3M ESPE歯科学術講演会『過去から未来へ,セラミックワークの本音を語る』」開催される

314日(日),東京ステーションコンファレンス サピアタワー(東京都千代田区)にて標記講演会が開催され,約60名の歯科医師,歯科技工士が参加した(主催:スリーエムヘルスケア株式会社).

 

本講演会では,いずれも1960年生まれである浅野正司氏(愛知県春日井市/浅野デンタル・アート),土屋 覚氏(東京都港区DENTCRAFT Studio),大畠一成氏(東京都渋谷区/デンタルラボアグロース)を演者に迎え,「Ⅰ.過去から現在へ―過去の足跡」「Ⅱ.現在から未来へ―素晴らしき技工士たちへ」「Ⅲ.シンポジウム」の3部構成にて,演者各氏が歯科技工士としての来歴や現在に至るライフワーク,次世代へのメッセージなどを語った.

 

1部では初めに浅野氏が登壇し,過去に自らシェードテイキングに赴きながらもシェードマッチングに苦しんだ経験から山本 眞氏(大阪市中央区/山本セラミスト)の教えを乞い,その中で認識したシェードマッチングにおける問題点として「『VITA Lumin Vacuum shade guide』の各色タブの配列は人の目に判別しやすいものの,比色の物差しとなる一定の基準を有さない」「同じA3色の陶材でも歯科材料メーカー各社の製品ごとに色調は微妙に異なる」などの事項があることを示した.

次に土屋氏が歯科技工士免許を取得して以降の自身の歩みとして,インレーから総義歯まで幅広くこなした新人時代,桑田正博氏(愛歯技工専門学校)や田中朝見氏(テキサス大学歯学部臨床教授)の門下でのポーセレンワーク修行,SJCDSociety of Japan Clinical Dentistry)への入会を経ての,咬合とペリオを踏まえた審美修復技工の実践といった昔年の試行錯誤の足跡を,当時のエピソードも交えながら洒脱な語り口で開陳.また歯科におけるチームアプローチのあり方について,航空業界におけるCrew Coordinationというコンセプトを援用して「他分野の専門家の指摘によって担当術者が気づかない問題点を認識できるような関係こそ理想的でしょう」と述べた.

 

2部では,浅野氏が歯科材料メーカーの協力のもと進めているオールセラミックス材料に関する実験研究の知見に基づいて,「ブリッジでは連結部面積を912cm2は確保する」「陶材の焼付不足によるトラブル回避のために,症例ごとに適切な焼成スケジュールを設定する」などジルコニアフレームと専用陶材を臨床応用するに当たっての注意点を披露した.

続いて土屋氏が,現在の臨床において重視している機能と審美の獲得に必要な概念や治療の進行におけるポイントを披露.まずは疾患の原因の探求と理解を経たうえで,ラボサイドにおいては補綴物の長期永続性を考慮した適切な材料選択が求められることを強調.自然なマージンの見せ方や適切な咬合設定法などについても詳述した.

その後,大畠氏が補綴物の適確な色調再現のために重要な要素として,天然歯の光学特性への理解を促すとともに,シェードテイキング時にガミーホルダー付のシェードタブや歯科用測色器を用いることで正確かつ客観的な情報を取得することが肝要であるとした.そのほか,3M社のCAD/CAMシステム『Lava』の最新CADソフトウェアの概要なども紹介した.

 

3部では参加者からの質疑に答えるかたちで,「CAD/CAMの進歩は歯科技工をどのように変えるか」「技工物の適正価格についてどのように考えるか」「歯科技工という仕事や業界をどうやって楽しくしていけばよいか」などのトピックについて演者各氏がそれぞれ忌憚のない意見を述べ合った.(中略)

 

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(本講演会については月刊『歯科技工』4月号誌上にてRecord記事を掲載します)

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