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「第2回 ナノジルコニアフォーラム」開催

 3月7日(日),パナソニックセンター(東京都江東区)にて標記講演会が開かれた(主催:パナソニック四国エレクトロニクス株式会社.以下,同社).本講演会は,セリアを安定材とした正方晶ジルコニアの結晶内に微細なアルミナ粒子を分散複合させたジルコニア(酸化ジルコニウム)ナノ複合セラミックス(製品名「P-ナノZR」.以下,ナノZr)の歯科臨床応用を企図したもので,2008年以来2回目の開催となった今回は,歯科技工所(以下,ラボ)用ナノZr専用CAD機器「デンタルシステムD700-3SP」の開発および新しいミリングセンター(愛媛県西条市)の開設に至ったことを受けて,高強度,劣化耐性に優れたナノZrの物性,臨床応用,技工操作を解説するプログラムに約130名の歯科医師,歯科技工士が集まった.

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 同社では今年1月から始動したミリングセンターのミリングマシンを基点に,デンタルシステムD700-3SPを導入した複数のラボをデザインセンターに指定し,「C-Pro SystemTM」と名づけたフレームワーク製作システムを展開している.同システムは,完全焼結体のナノZrから1~4ユニットのブリッジに対応するもので,支台歯形成においてはシャンファー,ディープシャンファー,ラウンデッドショルダーの辺縁形態を可能としているほか,最大の特徴として前歯・臼歯ともフレームの厚みを0.3mmまで薄肉化できるとしており,築盛スペースの確保をとおして歯科技工士の色調再現において優位性を発揮するものとして期待されている.

「ナノ複合化構造セラミックスの材料特性と臨床応用に向けて」
宮崎 隆(昭和大学歯学部歯科理工学教室教授)
 金属修復,金属焼付け鋳造冠修復,オールセラミックス修復それぞれの利点と欠点を踏まえて,従来のジルコニア(Y-TZP.以下,Y系ジルコニア)と比較した際のナノZrの特性を,歯科理工学の見地から明示した.宮崎氏はジルコニアの三変態や微細組成といった基礎知識を丁寧に述べたうえで,曲げ強度や破壊靭性値などを中心にナノZrの特徴を説明した.また,主に熱膨張係数に着目して,ナノZrによるフレーム(コーピング)に合った陶材選択の基準についても示唆した.(中略)

「ナノジルコニアの臨床的可能性」
杉山雅一(有限会社アートセラミック)
 チェアサイドでは支台歯形成と印象採得,ラボサイドでは模型あしらいとスキャニング方法,ミリングセンターではミリングバーの選択や切削軸数というような,CAD/CAMを用いたセラミックスワークの各段階で生じるジルコニアフレーム(コーピング)の適合を左右する因子を説明しながら,ナノZrの臨床応用可能性について歯科技工士の視点からの見解を披露した.(中略)

「アレルギーの観点からのセラミックスの臨床─安心して使える安全な材料をもとめて─」
澤田智慈(神奈川歯科大学顎口腔機能修復科学講座有床義歯補綴学分野臨床教授)
 体質としてのアレルギー反応(金属,材料,薬物,食品の各アレルギー)と生体防御システム(自然免疫と獲得免疫)について一般の日常生活をベースにわかりやすく話したほか,歯科由来の金属アレルギーのケースを数多く紹介し,患者サイドからのオールセラミックス修復の利点を明らかにした.

「ナノジルコニアを応用した新しいジルコニアオールセラミックブリッジの臨床」
三浦宏之(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科摂食機能保存学分野教授)
 破壊靭性値がY系ジルコニアの3倍である,低温劣化しないため舌側などにおいて口腔内での露出が可能である,フレーム(コーピング)厚みを3mmまで薄くできる,といったナノZrの臨床的優位点について研究・試験データをもとに説明した後,陶材のチッピングに至った症例も含めて3~4ユニットブリッジへのナノZrの臨床応用例を複数供覧した.(中略)

※本講演会については月刊『歯科技工』4月号誌上にてRecord記事を掲載します.

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