2月13日(土),14日(日)の両日,東京医科歯科大学歯学部特別講堂(東京都文京区)にて標記大会が開催され,延べ150名が参加した(大会長:五十嵐順正氏/東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科摂食機能回復学講座部分床義歯補綴学分野).
メインプログラムである初日のシンポジウムでは「チタン加工法のいま―鋳造法を中心に―」をテーマに歯科医師1名と歯科技工士2名が登壇し,インプラント上部構造など各種補綴物へのチタンの応用可能性の検討と歯科技工の臨床での現状が示された.
まず黒岩昭弘氏(松本歯科大学歯科補綴学第1講座)が「チタン・チタン合金の歯科鋳造応用としての現況」と題して,チタンは金合金などに比べ比重が低く軽量な補綴物が製作できる点や高い生体安全性を有するといった特徴を踏まえて,部分床義歯やコーヌステレスコープ義歯,インプラント上部構造へのチタンの応用について検討し,部分床義歯への利用に関しては「複雑な形態は鋳造欠陥を引き起こしやすいので,可能な限りシンプルな設計にすべきでしょう」と述べた.
「チタンニオブ・鋳造の限界を知る」をテーマに登壇した長井 聡氏(千葉市美浜区/須山歯研)は,チタンニオブ合金が普及しない理由の一つとして臨床の歯科医師に操作性が困難な純チタンのイメージが強く残っていることを挙げ,その払拭の一法としてチタン製の精密なプラモデルを実際に歯科医院へ持って出向き,使用したスプリングの弾性などを実感してもらいながらチタンのイメージ改善に取り組んでいることを紹介した.また,加工時のポイントとして破折を防ぐために5,000~6,000rpmの低回転で研削することなどを提示した.
最後に関 聖生氏(群馬県高崎市/京王歯研)は,「歯科チタン加工法の現代,未来」と題して,チタンの加工法として鋳造法とCAD/CAMを比較.特にテレスコープ冠の外冠などの精密な加工についてはCAD/CAMで対応できないため鋳造法が有効であるとした.また,鋳造精度を高めるために,自身の使用する鋳造機にヘリウムガスを利用したり放電時の出力電流を上げたりするなどの改造を施したところ,内包巣の防止や融解量の増加,作業時間の短縮を実現したことを紹介した.
本大会ではそのほか,一般講演12題,ポスター発表9題が行われ,チタン製クラスプの維持力やインプラントの骨結合に関するテーマが取り上げられた.
※本大会に関しては月刊『歯科技工』4月号にて編集部による取材記事を掲載する予定です.