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「第8回 モリタ歯科技工フォーラム 2010 TOKYO」開催される

1月23日(土),ベルサール神田(東京都千代田区)にて,標記大会が歯科技工士を中心に596名の参加者を得て開催された(主催:株式会社モリタ).本フォーラムは毎年,歯科技工士をメインターゲットとする演者・演目で開催されており,今回はインプラントや総義歯,審美歯科技工などに関する全9題の演目が用意されたほか,参加協賛企業12社による歯科技工製品の見本市が行われた.

 

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「修復治療における補綴物形態のあり方~ラボが押さえておくべきチェアサイドの情報~」では,西村好美氏(大阪市茨木市/デンタル・クリエーション・アート)が,補綴物製作にあたってはX線写真や口腔内写真からの情報に基づいて,歯周組織や清掃性を考慮した適切な歯牙形態を構築・付与する必要性があると述べた.

「実践! 成功できるインプラント臨床技工 私が27年間上部構造を作り続けて得た秘訣~これからインプラント技工を目指しテクニシャンへ~」では,鶴巻春三氏(新潟県三条市/マスターズ)が,主にインプラント上部構造製作における歯肉縁下貫通部の作り方の基準について講演.歯肉の厚みや形態ごとにプロビジョナルレストレーションの歯肉縁下に与える3形態〔Straight/Convex/Concave〕について各々症例を示しながら,SPI(Swiss Precision Implant)システムをベースとした具体的な技工ステップを供覧した.

湯浅直人氏(川崎市多摩区/医療法人社団新芽会 近藤歯科)は「天然歯の質感と表面性状の再現~変化に富んだ天然歯の表情に対応するための方法~」と題して,主に湯浅氏と同世代の30代前後の若手歯科技工士のために,目標歯に忠実な表面性状とつやを再現するポイントを紹介.「歯面にフラッシュを反射させた複数の写真から天然歯の質感を判断する」など,自らが臨床で実践する数々の手法を実例とともに解説した.

中込敏夫氏(東京都豊島区/JADE)は「義歯の形を設計し作り込む~クリニックとラボ双方での歯科技工士の可能性~」をテーマに,臼歯部顎堤が著しく吸収した総義歯症例をとおして,患者満足度を高めるための総義歯製作法として,診断用義歯を患者の口腔内に装着し,咬合調整を繰り返しながらティッシュコンディショナーで義歯の形を整えることで,総義歯の精度を向上させる手法などを紹介した.

「デジタル時代の歯科技工所経営~技工所活性化につながる新たな提案~」では,松浦賢治氏(東京都文京区/ケン.デンタリックス)が,“ラボのデジタル化”の取り組みの一環として自身のラボで導入している作業工程管理用のパソコンソフトを紹介.補綴物の製作工程を分業化する際に,社員の仕事内容・量を把握するために同ソフトを活用することで社員の仕事を客観的に評価することができ,勤労意欲を向上させるツールとしてもラボの経営に不可欠であると説明した.

 

最後のプログラムでは,本フォーラム初の試みとなる「スーパーセッション」として佐々木正二氏(宮崎県宮崎市/大阪セラミックトレーニングセンター宮崎校)と徳冨博和氏(アメリカ,マサチューセッツ州/Cusp Dental Research, Inc)が登壇し,それぞれ「歯科技工の基礎を通して臨床に活かせるヒントについて」と「The Achievement in Lab Work~純白と透明~」のテーマに基づいて交互に講演を行った.

 まず徳冨氏がジルコニアの材料物性に関する説明を行った後,補綴物製作の基本となる歯牙形態について佐々木氏が,外形(Square,Ovoid,Tapered)ごとの隆線の特徴やコンタクトの長さの違いなどを解説.そして形態決定後に重要となる色調再現については徳冨氏が,「半透明を加えると明度が上がり,色を加えると明度が下がる」という法則に基づき,半透明,無彩色,有彩色の陶材を利用した明度コントロール法を提案し,天然歯がシェードガイドより明度が高いケース,同等のケース,低いケースの各ケースに適したデンティン層の陶材の割合などを提示した.その後,現在アメリカで若手歯科技工士を育成する立場にあり,後進の指導法に悩んでいるという徳冨氏からの“相談”を受けて,佐々木氏が学生への指導法を披露した.また,最後には西村氏と坂 清子氏(株式会社ノリタケデンタルサプライ顧問)が登場.坂氏は,後進を指導する立場にある参加者へ向けて「その人の長所を見つけ,根気よく指導することが大切だと思います」と述べた.

 そのほか,新人発掘プロジェクト「技工登竜門」では,優秀賞に五十嵐 智氏(埼玉県桶川市/医療法人財団聖蹟会プライム・テクノロジー・スタジオ)と保坂達則氏(東京都渋谷区/ルネス青山デンタルクリニック)が選出された.

※本フォーラムに関しては月刊『歯科技工』3月号にて編集部による取材記事を,5月号にて参加した歯科技工士によるレポート記事を掲載する予定です.

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