1月17日(日),東京医科歯科大学(東京都文京区)にて,「平成21年度 歯科技工士 東京マイスターコース サイエンスレクチャー」(主催:東京都歯科技工士会)が開催された.
同セミナーは,午前の部として「欠損補綴・構造設備セミナー」,午後の部として「チームアプローチシンポジウム」の二部構成にて展開され,約100名の参加者を集めた.
「欠損補綴・構造設備セミナー」では,「顎機能に調和した咬合構成を目指して」と題し,星久雄氏(新潟県開業・星デンタルラボラトリー)が講演.冒頭に,有床義歯需要は今後15年間に1.8倍となる推計を紹介.審美性・機能性の要求の高まりとともに,高い治療技術の習得が今後さらに求められるとしたうえで,リジッドサポートを実現するパーシャルデンチャー製作のための要件を,各種支台装置の特徴を比較しながら解説された.特に着脱時の鉤歯への負担,支台歯の形成量の観点から,パーシャルパラレルミリングを応用した支台装置の優位性を,豊富な実際例よりレクチャーされた.
続いて,大岡博英氏(東京都開業・ナックデンタルクリエイト)により「EBMと構造設備基準」のテーマでの講演が行われた.業界が抱える諸問題の解決のためには,歯科技工士個人として取り組む課題と,業界全体として取り組む課題とを十分に整理したうえで,歯科医師あるいは患者に向けての「情報発信型の歯科技工士」という存在を意識していくべきことが提言された.
午後の「チームアプローチシンポジウム」では,「歯科医師と歯科技工士の連携を再考する」がテーマ.阿部修氏(東京都開業・平和歯科医院),星山力氏(神奈川県開業・星山デンタルラボラトリー),山本洋一氏(神奈川県開業・メディナ)が登壇.
阿部氏は,星山・山本両氏との実際の連携の取り組みについて紹介するなかで,補綴臨床は,歯科技工士の技術に助けられて成立していることを歯科医師は認識すべきとしたうえで,その技術を最大限に活かすための関係性を築いていくことが,「連携」のための歯科医師の責任と提言.そのためには,①緊密なコミュニケーション,②対等なパートナーシップ,③双方が経済的に成り立つ関係であること,の3点を必須のポイントとして提示された.歯科医師と歯科技工士が同じ情報を共有し,共通の目標を見据えて努力し合うことで,ともに技術的な向上が図られ,結果として患者からの信頼を得ることができると結んだ.
星山氏は,CrBr製作を例に,阿部氏との連携の実際を提示.単に受注→製作→納品というステップにおける関与のみを歯科技工士の仕事ととらえるのではなく,診査・診断や補綴物装着後の経過観察等の場面においても積極的に関与していくことが「連携」の要点であり,患者への最適な補綴物の提供に結びつくと述べられた.
山本氏は,総義歯製作における阿部氏との連携を,解剖学的なランドマーク採得のポイントを整理する形で紹介.特に難症例への対応が求められる場面においては,歯科医師と歯科技工士が同じ目線で勉強し合う必要性があること,そして歯科技工士主導で設計・製作が進む局面が存在することなどを提示された.
昨今,高度な審美歯科治療における,歯科医師と歯科技工士の連携が話題に上ることは多いが,同シンポジウムでは,まさに日常の臨床における等身大の「連携」の実現に向けての道筋が示された,まさに明日からの臨床に活きる充実した内容と感じた.
星久雄氏

左より,山本氏,星山氏,阿部氏,大岡氏,星氏
