2009年12月4日(金),5日(土),ホテルメトロポリタンエドモント(東京都千代田区)において,2009(平成21)年度歯科衛生士専任教員秋期学術研修会が開催された.
全国歯科衛生士教育協議会が主催である本研修会は,全国の歯科衛生士養成校の専任教員による教育上の手法や取り組みなどの紹介,成果を発表するとともに,歯科衛生士教育についての情報交換・交流の貴重な場となっている.現在のような形になってから30年が経過した今年度も,108校,196名の教員が参加,21題の演題の発表と活発な質疑応答がなされ,会場に空席がないほど盛況な会となった.
↑会場の様子
2009年4月に同会会長に就任した松井恭平氏(千葉県立保健医療大学教授)の挨拶に始まった本会では,歯科衛生士の活躍の場が拡大している現状を反映し,「口腔機能向上」や「口腔ケア」など,診療所だけではなく,高齢者施設や在宅で必要とされる知識や技術の学習に取り組んでいる学校が多くあった.また,教育年限の3年制化にともなって歯科衛生士としての資質をより向上させるために,各学校がさまざまな工夫をしていることがわかる報告が相次いだ.
さらに,歯科衛生士が社会からは求められているにもかかわらず,少子化の影響によって,いくつかの養成校において定員割れが生じている現状を打開するために,教育内容のほかに学校運営についても,あらゆる努力がなされていることが明瞭に伝わってきたことが印象的であった.
←松井恭平氏
特別講演は,高齢者施設等におけるアクティビティ・レクリエーションの充実を目的とした改善研修や高齢者に関わる方々向けのコミュニケーションスキル向上を目的とした講習会を行っている,株式会社プレイケア代表取締役・川崎陽一氏による「高齢者とのコミュニケーション」.同氏は,要介護層にはもちろんのこと,介護予防層には楽しみながら運動機能の維持向上,脳の活性化ができる「プレイ(=遊び)ケア(=気づき・発見)」を提唱しており,テンポのよいスピーチとともにいくつかのコミュニケーションツールが紹介された.なかでも,簡単なエクササイズやリハビリテーション,レクリエーションの道具として老若男女,誰もが楽しめる「プレイケアスカーフ」の解説では,全員に配付されたスカーフをその場で投げたり,キャッチしたりと参加型の講演となり,会場全体が笑いと活気に包まれた.患者とのコミュニケーションが重要とされる歯科衛生士にとって,臨床にもすぐに活かせるようなテーマであった.
(株式会社プレイケア ホームページwww.playcare.jp)
↑「プレイケアアスカーフ」を使用した参加型の講演
懇親会にも,ほぼ全員が参加し,各学校での悩みや苦労話,情報交換などを積極的に行う姿が象徴していたように,歯科衛生士の熱意とパワーが十分に感じられる2日間であった.