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「GC友の会 学術講演会」開催される

 

 11月15日(日),大手町サンケイプラザ・ホール(東京都千代田区)にて,標記講演会が開催された(主催:株式会社ジーシー).今回は「診療室・技工室から補綴臨床を考える~わたしたちが経験してきたこと~」をメインテーマに,歯科医師2名,歯科技工士2名によるパネルディスカッション方式で行われ,約340名が参加した.

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 午前の部では「きもちよく収まり精度の高い補綴物製作のポイント」をテーマに,吉田秀人氏(横浜市港南区/吉田歯科医院開業)と山口周行氏(東京都中野区/シュウデンタルラボ)が登壇.吉田氏は補綴治療の分業によってチェアサイドとラボサイドの乖離が生じていると指摘し,高精度な補綴物製作には作業工程の責任の所在を明らかにすること,工程ごとに必ず何からの誤差が生じていることを両者が意識しておくことが重要であると述べた.山口氏は歯科医師による3つの論文を紐解きながら,下顎運動に着目する必要性を強調したほか,正確なポイントセントリックを付与するためにあらかじめラボサイドにて石膏模型上で咬合調整を行うことにより,チェアサイドでの咬合調整が軽減されることを紹介した.

その後,松田光正氏(熊本県天草市/松田歯科医院開業),遊亀裕一氏(横浜市中区/山手デンタルアート)を交えてのディスカッションが行われ,上記テーマに沿って印象や模型製作,咬合採得などのステップについて各氏の臨床経験に基づく知見が披露された.特に石膏の計量に関しては,カップで簡易・迅速に行う歯科医師側と重量秤で行う歯科技工士側の厳密な計量に対する意識の違いが浮き彫りになった.

 

 午後の部では「補綴物製作に必要な情報とイメージの共有」をテーマに,松田氏がまず講演を行った.松田氏は,インプラントが普及している現代であっても高齢患者を中心に部分床義歯は必要であるとの見方を示すとともに,ケースに応じて可能な限り片側処理の設計にすることで患者に快適な義歯が実現できると説明.その後の4氏によるディスカッションでは部分床義歯のデザインに焦点を当て,「両側臼歯が安定した咬合を目指すべき」(遊亀氏),「カスタム人工歯を活用することで患者固有の顎運動に調和する」(吉田氏)といった意見が示された.

 続いて遊亀氏が登壇し,デジタル画像の活用によって石膏模型から読み取れない多様な情報をラボサイドでも知ることができると解説し,X線写真からわかる患者の骨レベルを模型に反映させる手法などを紹介した.最後のディスカッションでは,吉田氏と松田氏がそれぞれ独自に作成している歯科技工指示書を提示.写真やイラスト,コメントが豊富な内容に歯科技工士側から「これほどの内容だと歯科技工士も非常に作業を進めやすいのではないでしょうか」(山口氏)との感想が挙がった.そのほか,ブラキシズムによって頻繁に再製となる患者への対応や,光源の違いなど撮影環境に応じて同じシェードでも異なって見えることなど,チェアサイド・ラボサイドが共有すべき事項など幅広い話題が取り上げられた.

 

※本大会の詳細については,月刊『歯科技工』後続号にて参加した歯科技工士によるレポート記事を掲載いたします.

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