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「Hygeia 症例検討会 2009」開催される

 2009年10月31日(土),11月1日(日)の2日間にわたり,日吉歯科診療所(山形県酒田市)にて,「Hygeia症例検討会2009」が開催された.
 「Hygeia」(代表:徳本美佐子氏/日吉歯科診療所歯科衛生士)は,熊谷 崇氏(日吉歯科診療所院長)が主宰する「Oral Physicianセミナー」*1受講の歯科医師のもとで勤務するスタッフが入会できる会員組織であり,2006年の発足時より,症例検討会や実習セミナー,合宿等を通して,Oral Physicianを目指す歯科医師のもとでスタッフが果たすべき役割,習得すべき知識・技術を学ぶ場として,精力的な活動を続けている.
           
091101DHtokumoto.jpg 会長の徳本美佐子氏  

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Oral Physicianの診療室に勤務するスタッフが全国から集まった


 約40名の会員を集めて開催された本症例検討会初日のプログラムは,世界標準の技術・知識を患者に提供していく際に求められる「イノベーション」(革新)のプロセスや,「メディカルトリートメントモデル(MTM)」の各ステージの意義と目的の再確認など,医院の根幹をなす理念やシステムを主たるテーマとして展開された.
 「めざせ!! 世界標準の歯科衛生士」(熊谷 崇氏)では,患者の生涯にわたって口腔の健康を守るという「価値の明確化」→その実現に向けたリスク評価やMTM,メインテナンスなどの「手段」→その結果に対する「検証・解析」というイノベーションのプロセス,また,医院のビジョンや価値観,目的を共有する患者(顧客)を育てることが,地域と医院との価値観の共有へとつながっていくことなどを語った.
 続く「日吉歯科診療所大人のMTMにおける歯科医師の役割・歯科衛生士の役割」(加藤大明氏・仲川隆之氏・徳本美佐子氏/日吉歯科診療所)では,MTMに歯科医師・歯科衛生士がつねに思考し,主体性をもってかかわるための各ステージの意義や理由,重みづけの再確認,それを患者に伝える際の具体的なアプローチ方法などが示された.
 翌1日(日)は,歯科衛生士会員による報告を軸に展開され,まず高山奈穂子氏(日吉歯科診療所)からは,日吉歯科診療所の定期/不定期来院患者別の喪失歯数とその理由がデータで示された.10~20年間定期的に来院している患者群での喪失歯数は0.7本(初診時抜歯適応歯を除く)と低く,その喪失理由は根尖病巣,歯根破折であり,一般に歯の喪失理由の多くを占める「歯周病」や「カリエス」は定期来院によってそのリスクを限りなく下げられることを明らかにした.
 高橋典子氏,柴田貞彦氏(ともに柴田歯科医院)による「メインテナンス率向上をめざして!」と題した発表では,メインテナンス率向上のための要件としての環境整備,来院中断患者への積極的な働きかけ,予約確認の連絡,診療当日に次回予約をとるなどのさまざまな試みとその成果を報告した.
 続く「20年目のスタートライン」(竹澤あゆみ氏/丸の内歯科医院)は,自身の歯周治療における歩みと成長を振り返るとともに,現在取り組んでいる長期症例や自費メインテナンスの内容を報告,「自費診療への取り組み」(坪山郁世氏・レミントン歯科)では,個々の患者のリスクや価値観に応えていくために導入した自費診療でのSRPやメインテナンスの実際を詳細に解説した.
 午後の発表では,江崎早苗氏(江崎デンタルクリニック)が「世界標準の診療室をめざして」と題して,世界標準の歯科医院に向けた道のりのなかで遭遇したさまざまな課題をいかにして乗り越えてきたかを報告し,続く「日吉歯科診療所U20部署 適切な時期の矯正治療介入による口腔育成」(佐藤裕子氏/日吉歯科診療所)では,カリエスフリーの永久歯列実現のためには,成長期のどの時点での矯正治療が望ましいかについて,良好に経過している臨床例を通して解説した.
 本会の最後を締めくくる発表「長期症例126の中から喫煙を考える」(冨塚久美氏/日吉歯科診療所)では,勤続29年目を迎える氏の担当患者のデータを,非喫煙者・喫煙者・禁煙者別に詳細に分析.その男女比率や歯周病罹患率・悪化率から,禁煙指導・支援の必要性を明らかにした.また,禁煙により歯周組織の安定を得て,口腔の健康が守られている症例を通して,日吉歯科診療所での喫煙患者への対応を示した.
 参加者からは,「規格性のある写真と記録がすべての基本だと感じた」「漫然とリスク検査やメインテナンスを行うのではなく,“何のために行うのか”という理由と意義を理解し,それを患者にも伝え続けていけないことに気づいた」といった声が多数聞かれ,自らの臨床の目指すべき場所を再確認するとともに,その目標に向かって医院一丸となって歩んでいくための大きな活力と決意を得た2日間となったようだ.

*1 Oral Physician:患者をメディカルトリートメントモデルに従って診断・治療・管理でき,カリオロジーとぺリオドントロジーに基づき,患者さんの生涯に渡って口腔の疾患の発症と再発を予防できる歯科医師

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