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第51回歯科基礎医学会学術大会開催される

 9月9日(水)~11日(金),朱鷺メッセ新潟コンベンションセンター(新潟市)にて,標記学会が「次世代をめざした歯科基礎医学の発展,そして未来への架け橋」をメインテーマに,約800名の参加者を集めて開催された(大会長:前田健康教授・新潟大).
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 近年,大学や歯科界を取り巻く社会環境の変化や,歯科医師臨床研修義務化によって大学院進学希望者が急減し,学位取得後も研究者としてのキャリアパスを描きづらいなど,将来の歯科基礎医学を担う人材の確保が懸念されている現状をふまえ,前述したメインテーマとされた.
 また,最近の学会ではポスターセッションが多くなり,若手研究者が口頭で発表する機会が激減し,プレゼンテーション能力の低下が危惧されていることもあり,本大会では,口演発表の枠を十分確保するために,これまで各分野別主体で企画・実施されていたシンポジウムを前日のサテライトシンポジウム枠に移動した.そして,企画シンポジウムとして日本学術会議主催の「人材育成のグローバルアプローチ」を開催し,新木一弘氏(文科省高等教育局医学教育課長)による「今後の歯科医学教育の充実について」講演が行われた.2009年4月18日の読売新聞(夕刊)の“私立歯科大6割定員割れ”という関係者には胸のしめつけられるトピックから始まり,歯科界の厳しい状況のなか,確かな臨床能力を備えた歯科医師の養成方策を打ち出して欲しいと教育現場に協力の要請をされた.具体的には,①歯科医師として必要な臨床能力の確保(臨床参加型),②優れた歯科医師を養成する体系的な歯学教育の実施(モデル・コアカリキュラムの見直し,第三者評価の導入,③歯科医師の社会的需要を見据えた優れた入学者の確保(入学者受け入れ方針の明示,各大学の入試の工夫),④未来の歯科医療を拓く研究者の養成(研究に携わる機会の拡充,大学院の充実)等,提言があり,今後は歯科医師の活用を模索していきたいと力強い言葉で締めくくられた.
 味の素株式会社によるスポンサードシンポジウムでは,「味覚生理研究のフロンティア」と題して,味覚や唾液が栄養摂取機能のなかでどのように機能しているかを最近の知見を基に広く考察し,超高齢化社会における基礎研究の新たな方向性を模索し,二ノ宮裕三教授(九大),吉江紀夫教授(日歯新潟),畝山寿之氏(味の素株式会社ライフサイエンス研究所),稲永清敏教授(九歯大),笹野高嗣教授(東北大)5名のシンポジストを迎えて行われた.なかでも,種々の疾患により血漿および唾液中のタンパク質濃度が変化することに着目し,疾患に特徴的な変動を示す唾液中のタンパク質をマーカーとして用いることが,病気の早期発見や診断に役立ち,採血より負担なく診断できることを示唆した稲永教授の研究内容は,まさに,歯科医師の新たな活躍の場,活用の可能性を秘めているものとして活発な討議がなされた.

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 本学会においては各賞の受賞講演が行われている.今回は,ライオン学術賞の吉垣純子氏(日大松戸)が「唾液腺細胞における分化の可塑性と機能回復への応用」を,第19回歯科基礎医学会賞の細矢明宏氏(松歯大)が「歯根膜組織の歯槽骨再生能」を,山中淳之氏(鹿大)が「実験動物スンクスを使った異形歯性歯列の発生学的研究」を,赤松徹也氏(徳大)が「唾液腺発生におけるサチライシン様前駆体蛋白質変換酵素PACE4の生理機能」を,齋藤仁子氏(日大)が「損傷下歯槽神経の再生過程における侵害受容神経細胞の可塑的変化」を,福島秀文氏(九歯大)が「Notch2はNF-κBシグナルと協調しRANKLによる破骨細胞の分化を制御する」を,それぞれ講演した.
 その他,株式会社ロッテ協賛のもと,血管生物学の第一人者であるLeveon M. Khachigian教授(University of New South Wales・オーストラリア)による特別講演など,さまざまな趣向により,基礎分野の意見交換,議論が交わされた.
 一般口演も分野別の各会場に常に席は埋め尽くされ,会場の外にはあまり人が見あたらないほど,熱心に参加していたのが印象的だった.また,ポスターセッションも285の演題にのぼり,質疑応答の時間を待たずして,熱心に討議をしている姿も多く見受けられた.
 10日(木)の夜にホテルオークラ新潟で開かれた懇親会も盛会となり,基礎分野が集う本学会ならではの貴重な意見交換の場となった.

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 次回,第52回大会は,2010年9月20日~22日,タワーホール船堀(東京)にて開催される予定である(大会長:牧村正治教授/日本松戸).

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