2009年4月12日(日),東京ミッドタウン・ホール(東京都港区)にて「プロフェッショナルケア 新たなる潮流をめざして―歯や補綴物の個性がわかるとこれまでのケアが変わる!―」と題した標記学術講演会が行われ,歯科衛生士を中心とする800名あまりの聴衆を集めた.
本講演会は,これまで画一的に行われがちだった歯科衛生士によるプロフェッショナルケアの再考を主題とするもので,歯科医師の立場からは加藤正治氏(東京都港区開業),歯科衛生士,歯科技工士の立場からは小林明子氏(東京都・小林歯科医院)がそれぞれ登壇し,見解を述べた.
冒頭の加藤氏による講演「発想の転換でプロケアはもっと魅力的になる」では,個々の患者の背景を鑑みたプロフェッショナルケアを「パーソナライズド・プロフェッショナルケア」と定義したほか,プロフェッショナルケアによる歯面への影響が拡大像を用いて提示され,対象歯に合わせたプロフェッショナルケアの選択や再石灰化療法「ナノケア」,ドラックリテーナーを用いた歯面の除菌など,プロフェッショナルケアにおける数々の“発想の転換”が提言された.
小林氏による講演「補綴物治療後のメインテナンスの臨床ヒント~ヒューマンモデル型メインテナンスを目指すために~」では,PMTCに対するこれまでの考え方の変遷および“歯面の研磨は,審美的手段として選択的に行うべきである”というADHA(American Dental Hygienist’s Association)の見解が確認され,補綴物などの材料や患者さんの背景を考慮したプロフェッショナルケアの今後のあり方が強調された.
講演につづいて行われた質疑応答・ディスカッションでは,参加者からプロフェッショナルケアに関する数々の疑問が加藤・小林両氏に投げかけられ,参加者の関心の高さが伺える会となった.
※加藤正治氏,小林明子氏による関連記事は月刊『デンタルハイジーン』2009年1月号に掲載されています.