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「ITI Congress Japan 2009」開催される ──歯科技工士セッション報告

 2月14日(土),15(日),東京ビッグサイト(東京都江東区)において「Approved Procedures and New Developments in Implant Dentistry(インプラント治療における治療ガイドラインと新たな展望)」をテーマに標記大会が開催され,国内外から招聘された90名近い演者によるプログラムに,歯科医師,歯科技工士ら延べ1,800名が参加した(主催:ITI Section Japan).スイス・バーゼルに本部を置くITI(International Team for Implantology)は,インプラント治療の教育・研究および普及を目的とした国際非営利学術組織で,主にインプラント歯学ならびに歯周組織再生に従事する専門医から構成されており,日本では25名のフェローメンバーが在籍している.25種類の多彩なセッションプログラムが企画された会期中は最先端のインプラント治療に関する知見のみならず,高齢者に対する治療法や大学教育などに関する幅広い講演がなされ,2日目には歯科技工士セッション(モデレーター:斉藤 勇氏/I.S.デンタル・川崎市高津区,杉井伸行氏/アポロデンタルラボ・埼玉県川口市)が組まれた.

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 「Best of Digital インプラント上部構造におけるジルコニアセラミッククラウンの強度検証と可能性」と題して講演した斉藤氏はまず,インプラント治療の10年間の経過を追った一般的なサバイバルレートを示し,約9割が生存しているものの,そのうちの約3割は合併症に悩まされているとし,多くの歯科技工士は自身が手がけたケースのその後の経過を知らないが,今後は全国レベルで経過のリサーチができるよう体制を整える必要があると述べた.(中略)

 木村健二氏(協和デンタルラボラトリー/千葉県松戸市)は「インプラント上部構造の適合と素材を考察する」をテーマに登壇.インプラント上部構造の素材にはシリケードガラスセラミックスを中心に用いていることを明かし,自身のラボではプレスセラミックスによるケースが増加傾向にあると述べた.(中略)

 「Bianco e Rosso─CAD/CAMを応用したアバットメントおよびスーパーストラクチャー製作のポイント─」では山本尚吾氏(art & experience BeR/東京都新宿区)が,CAD/CAMによるチタンアバットメントの製作例や埋入方法について説明した.製作例では特にフリーハンドでは不適合を起こしやすいとし,研磨にも水平ブラシを用いていることを説明した.(中略)

 高橋 健氏(Dental Laboratory Smile Exchange/川崎市高津区)は「審美領域におけるインプラント埋入位置と上部構造歯肉縁下形態の考察」と題し,インプラントにおいても審美性を重視することが必要であるとし,歯肉退縮に関する基本知識や適切なインプラントの埋入計画について解説した.(中略) 

 最後にインプラント技工に35年携わってきた立場から,坂本 裕氏(Y’s DENT STUDIO/北海道岩見沢市)が「インプラント技工におけるエビデンスと将来性」をテーマに登壇し,1970年代のインプラント事情を振り返りながら,トラブルが起きた場合,以前はインプラント体に問題があるとされがちだったことを挙げ,患者の状態や術者を含めて,問題点の所在を的確に分析することが重要であると伝えた.また,インプラント治療の材料については「最新は最善か?」との視点から,ハイブリッドセラミックスや金属焼付ポーセレン(以下,PFM),ジルコニアなどを例に挙げ,歯肉縁下1mmのケースなどではジルコニアが有利だが,そのほかの症例ではPFMも十分活用できることが示され,最新の技術ばかりに注目が集まりがちな現状に一石を投じていた.(了)

※本セッションについては,月刊『歯科技工』3月号にてRecord記事を掲載します.

 

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