Ishiyaku Dent Web

歯科医師・歯科技工士・歯科衛生士のポータルサイト

「第7回 モリタ歯科技工フォーラム 2009 TOKYO」開催される

1月24日(土),大手町サンケイプラザ(東京都千代田区)において標記大会が歯科技工士を中心に過去最多となる723名の参加者を得て開催された(主催:株式会社モリタ).本フォーラムは毎年,歯科技工士を主対象とした演者・演目が企画されており,今年はオールセラミックスレストレーションやインプラント,全部床義歯などに関する全9題の講演,協賛企業12社による技工製品見本市に加え,昨年の参加者アンケートで希望が多かったことから,これまで本フォーラムに登壇した演者の作品展示が行われた.

 

 今年で3回目を迎えた新人発掘プロジェクト「技工登竜門」では,同プロジェクト初のグランプリを鬼頭寛之氏(名古屋市天白区/カナレテクニカルセンター)が受賞し,「Factors to the total shade~支台歯を含む色調構成要素を考慮したジルコニアレストレーション~」と題して登壇.支台歯がゴールド色の場合は金属コアを完全に遮蔽せずにシェードベースステインを築盛することで不透明感を抑えるなど,支台歯本来の色調を再現するシェードコントロール法を紹介した.また,優秀賞には伊藤竜馬氏(東京都大田区/Leap Ceramic Arts)と峯崎稔久氏(名古屋市天白区/カナレテクニカルセンター)が選出された.

 「Basis and knowledge~若手セラミストのための知っておきたいポーセレンワーク~」では,第1回技工登竜門で優秀賞を獲得した溝口 悟氏(東京都世田谷区/自由通りデンタルラボラトリー)がシェードテイキング時の写真撮影の方法やメタル表面調整などのポイントを解説した.特にシェードテイキング時の写真を画像処理ソフトなどで調整する際,自分の思い込みで調整を行ってしまうと本来のシェードとずれてしまう恐れがあるため,必ずシェードガイドで確認しながら作業を行うべきであるとした.

 「Esthetic Approach in Clinical Dentistry.-Management for Dental Implants-」では高橋 健氏(川崎市高津区/Dental Laboratory Smile Exchange)が,インプラント治療のポイントとして生物学的幅径(Biologic width)やインプラントの埋入計画について説明した. Biologic widthに関しては,水平的Biologic widthは3.0mmが望ましいこと,垂直的Biologic widthと水平的Biologic widthの比率が天然歯の場合は1.5:1であるが,インプラントでは1:1.5が適切であると紹介したほか,埋入計画の目安として,インプラント体から歯冠までを繋ぐラインとインプラント体の埋入角度「Sub Gingival Contour Angle(以下,SGC角)」について,複数の症例を供覧しながら無理なく審美性を確保するためにはSGC角は30~45°が適切であるとした.

 「もう悩まない! 総義歯製作の12ステップ~マグネットを応用した症例を通して!成功するデンチャーテクニックを考える~」と題して講演した須藤哲也氏(千葉県松戸市/協和デンタルラボラトリー)は,診断から軟性のリベース用レジンを使用した義歯床の製作や装着までの工程における歯科技工士として知っておきたいポイントを,マグネットを使用した全部床義歯症例をとおして解説.ゴシックアーチ描記の工程では,一度下顎位を測定した後も,人工歯排列を行う前に治療用義歯で再度ゴシックアーチ描記を行い下顎位を確認することでより適合性に優れた全部床義歯が製作できると述べた.

 本フォーラムの最後には吉田明彦氏(アメリカ・マサチューセッツ州/Gnathos Dental Studio)が「All Ceramic Restorations」をテーマに登壇.オールセラミックスレストレーションが普及したいま,色調再現におけるマテリアル選択の重要性がより増しているとして,支台歯色の影響を排除するために最適なコーピングの材料や求められるシェードベースの厚みについて,ΔE値を指標として独自に作成したチャートをもとに解説したほか,ジルコニアの光学特性にも言及し,特に歯頸部に天然歯様の蛍光性を与えるためにマージンポーセレンを使用するのが望ましいなどのポイントを示した.そのほか,耐火模型法によるポーセレンラミネートベニア製作のコツとして,「正中線が咬合平面と垂直に交わるように模型を咬合器にマウントすることで形態を捉えやすくなります」「ラミネートベニアでは陶材の厚みが0.2mm違うだけでも色調に明らかな差がでてくるので均一な支台歯形成をしていただくよう歯科医師に依頼するのが望ましいでしょう」などのアドバイスを披露した.

 

 IMG_2520.jpg

 

※本講演会については月刊『歯科技工』3月号誌上にて編集部による取材記事を掲載いたします.

■他のニュース記事をさがす

日付から記事をさがす
<2024年5月>
2829301234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930311
2345678
キーワードから記事をさがす

人気の歯科書籍(キーワード別)

歯科雑誌 最新号