2008年10月12日(日),秋葉原UDX(東京都千代田区)にて標記セミナー(主催:㈱スマイル・ケア,後援:㈱モリタ,㈱オーラルケア)が開催された.過去にほとんど例のない「消化器疾患と口腔の関連」をテーマとして展開されるセミナーとあって,診療室や病院,訪問歯科などさまざまな職場で活躍する歯科衛生士,歯科医師らが集まった.

セミナーでは,まず講師の西岡昭彦氏(医師/神戸百年記念病院外科)が,医科領域における口腔の観察部位(舌,扁桃腺,咽頭など)の変化や異常から読みとることができる疾患やその病態について解説.また,“不十分な咀嚼が腸閉塞の一因になり得る”“高血圧治療によって口腔乾燥が惹起される場合がある”など,口腔と全身疾患とのかかわりについて臨床例を交えて紹介した.さらに,近年増加傾向にある「GERD(胃食道逆流症)」の原因と治療法,口腔に重篤な影響を及ぼすおそれのある嘔吐反射についてもそのメカニズムを解説.胃腸の構造については,実際の内部映像を通して各部位の役割と特徴が紹介され,参加者からは「このような映像を見るのははじめてで非常に興味深かった」「人体がいかに精密につくられているかを再確認した」といった声が多く聞かれた.

西岡昭彦氏

土屋和子氏
続く土屋和子氏(歯科衛生士)による講演では,「口腔内に存在する液体は唾液だけではなく,細菌や胃酸などさまざまなものを含んでおり,それらが口腔にさまざまな影響を与えている」と強調したうえで,酸蝕や齲蝕の原因としてGERDや摂食障害が疑われたケースを例に,「患者さんとのコミュニケーションや治療の履歴から,口腔内の問題の真の原因がどこにあるのかを柔軟な視点で,かつ慎重に探っていくことが重要」「患者さんの全身の健康をサポートするには,歯科領域にとどまらない幅広い知識と観察力,そして医療者自身が健康であることが不可欠」など,歯科医療者が消化器系疾患をはじめとして「全身」について学ぶ意義と目的を語った.
そのほか,プロバイオティクス,サプリメントなど患者さんから質問を受けることも多い最新の話題や,近年歯科界において関心が高まる免疫のメカニズムなどについても,参加者から寄せられた疑問への回答を織り交ぜながら解説がなされ,歯科医療者としてのみならず,自身の心身の健康の維持・増進においても役立つ話題がふんだんに盛り込まれた,充実のセミナーとなった.