6月17日(日),横浜情報文化センターホール(横浜市)にて,標記講演会が開かれた. 藤本研修会は,歯科臨床に際し問題解決能力を高めるためのScience & Artを得ることを目標とした実力養成コースであり,そのプログラム内容の多様さと質の高さには定評がある.本研修会の主宰者である藤本順平氏(東京都開業)が執筆者の一人に名を連ね,クラウンブリッジ分野において世界的なテキストブックとして広く認知されている“Contemporary Fixed Prosthodontics”の第4版発行を記念し,本講演会が行われた.
講演会は,同書の共著者であり,米国補綴学会のリーダーシップをとるStephen F. Rosenstiel教授 (オハイオ大歯学部補綴学)と Martin F. Land教授 (南イリノイ大歯学部補綴学)を演者に迎え,文献レビューとエビデンスに基づく,臨床に即した実践的な内容で繰り広げられた.

Land教授(左)とRosenstiel教授
Rosenstiel教授は,“Dentists' and the Public's Perception of Dental Esthetics”および“Restoration of Endodontically Treated Teeth”の2つのタイトルで講演.前者では,前歯部の審美的改善を目的とした補綴処置をテーマに,いわゆるゴールデンプロポーションの解説から,歯科医と患者の審美性の意識に対する差異に関する知見について,歯間空隙,近遠心傾斜,中切歯と側切歯の長さ,中切歯の高径と幅径の比率,歯の白さなど詳細にわたる項目で述べた.そして後者では,根管処置済みの歯に対する修復処置について,完全な被覆の重要性,各種ポストシステムの特徴,利点・欠点等についてわかりやすく解説した.
また,Land教授は“Seeing and Communicating Color”“ Tooth Prepalation Revisited”の2題で発表.前者では,視神経が色を認識するメカニズム,CIELAB表色系のΔEを基準とした計測方法を解説したうえで,診療室におけるより正確なマッチング方法として,一定の光源,ニュートラルグレーの壁面,歯周辺の強い色を避けること,歯を清潔にし手早くシェードをとること,複数のシェードを揃えることなどを提言した.また後者では,予知生の高い歯牙形成の原則を,テーパー,クラウン高径,高径と幅径の比率,解剖学的な削除,マージン位置と形状,削除量,グルーブ等の形態付与,ラインアングル,壁面の表面性状の各ポイントから整理した.
臨床の真髄にふれる両演者の講演に質疑も活発に行われ,参加者にとって臨床のヒントを得る貴重な時間となった.